「人は食べたもので出来ている」と言いますが
「人は読んだもので出来ている」とも言えるのではないかしら。
ブログ友のZoe(id:zoee)さんが以前そんなことを書かれていて
とても共感しました。
YOU ARE WHAT YOU READ - 本棚に本があふれてる
ワクワクしてページをめくり、
感動したり震撼したり、泣いたり笑ったりした読書体験。
幼い頃から積み重ねてきたそのすべてが「わたし」をカタチづくっていると
言えるのだろうけれど
でもじゃあ、自分が本当に大切にしている本って、どの本なのだろう?
わたしという人間の、「核」の部分を作った本って・・・?
本との出会いは、人との出会いに似ています。
たくさんの本と出会って、ある程度の時間を共に過ごすけれど
大半の本は、記憶の底に消えていく・・・
「おもしろかった」「たのしかった」「よかったー」とは思っても
生涯大切にしたい本というのは一握り。
「わたし」という人間をカタチづくっているのは、
やっぱりそんな、一生涯ずっと胸の奥に抱えていたい宝物のような
本たちなのだと思います。
そんなかけがえのない一冊に出会うために、たくさんの本を読む、
それはどこか「宝物さがしの旅」にも似ていますね。
もし期待通りじゃなくても、少しがっかりしたとしても
一冊の本から私たちは何かを学びます。
だから、読書体験の旅は、とても充実していて満たされたものだと感じます。
そして、光り輝く自分だけの宝物のような一冊に出会えたときの
無上の喜び。
これは読書家が多いブロガーさんたちに、わざわざ説明するまでもありません。
以前、関東に住んでいたころ、
「1000+1BOOKS センイチブックスhttps://senichibooks.com/」
という本屋を見つました。
それはシェア型の本屋で、32センチ角の四角い本棚が100個並んでいます。
ひとつの本棚に一人の棚主がつき、そのスペースに
自分が用意した好きな本を何でも置いて売ることができるという仕組みです。
SNSでその本屋の存在を知り、一度行ってみたいなぁと思っていたところに
引っ越しが決まり、結局一度も足を運ぶことなく終わってしまいました。
でも、「もし自分がその本屋の棚主になったなら、
どんな本を置くだろう?」と考えることは楽しい計画でした。
スペースが限られたほんの小さな一角に、自分だけの「世界」を作るなら。
あなたなら、どんな本を置きますか?
①母の作品集「幻想人形館」
人形作家であり
紙粘土の手工芸講師もしている母の作品集、「幻想人形館」。
一般には販売していないのですが、絶対に置きたい一冊です。
私が物心ついた頃、母はすでに人形創作に打ち込んでいました。
小柄な体で、大きな人形を次々と作り出す様は、
まるで魔法のようでした。
50代半ばで、ずっと抱き続けていた「本を出版する」という夢を叶えた母。
できあがった作品集を開いたときの感動は、忘れられません。
どの人形にも物語があり、想い出がある・・・
母の中で泉のように湧き出ていたアイディアは、
音楽であり、ストーリーであり、
そしてまた、人形に対する愛情と情熱だったのだと思います。
ほんの少し憂いを帯びた表情、
神秘的な妖精たち、あどけなく生き生きとした瞳の少年少女たち・・・。
人形たちの表情には母の夢と想いがこもっています。
ちなみに写真は叔母が撮りました。
姉妹だからこそ、通じ合うものがあり、この一冊の本が生まれたのだと思います。
この作品集をめくればいつも、あの情熱を持って創作を続ける母の
いきいきと輝く瞳に出会えるのです。
②安房直子「銀のくじゃく」
小学生の頃、夢中になって読んでいた安房直子さんの本を
去年、下北沢のB&Bで見つけました。
大人になって読み返しても、やっぱりその世界観に惹きこまれます。
不思議で神秘的、少し怖くて、途方もなく美しい物語。
③高柳佐知子「赤毛のアンノート」
小学生のころ、祖母が買って来てくれた一冊の本。
この「赤毛のアンノート」を読んで、高柳佐知子さんの世界と
さらさらと軽いタッチで描かれたイラストと、
高柳佐知子さんの珠玉のエッセイなど、素敵なエッセンスがギッシリと詰まった一冊。
④佐藤富雄の本
私の人生を変えてくれた本です。
20代で佐藤富雄さんの本に出会い、価値観がガラリと変わりました。
自分なりに解釈し、自分ができることだけしか実践できていませんが
いまの職業、結婚、いまの自分の考え方は、
佐藤富雄さんの著書の影響を大きく受けていると思います。
運命は「口ぐせ」で決まる―「思いどおりの自分」をつくる言葉の心理学メソッド (知的生きかた文庫)
⑤中谷彰宏「なぜ彼女にオーラを感じるのか」
スピリチュアル的な「オーラ」ではなく、
魅力溢れる女性になるためには?というアドバイスが書かれている本です。
いつまでも心に刻み付けておきたい言葉で溢れています。
⑥井上直久「イバラード博物誌」
⑦銀色夏生「微笑みながら消えていく」
⑧今村夏子「こちら、あみこ」
⑨長田弘「私の好きな孤独」
⑩江国香織「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」
もちろんまだまだたくさんあるのですが、
とりあえず10冊をあげてみました。
カポーティーの「誕生日の子どもたち」や
この10冊に入れたいほど好きだった本です。
良い本を読んでいる時間は、充実した素晴らしいもの。
そして、それだけではなく、その後、どんなに時が経っても
その本のページをめくりさえすれば、「そのとき」に出会えるのです。
その本を読んだときの自分、そのときの感情や
登場人物に寄せた気持ち、読んだ場所の空気までも。
ページをめくらなくてさえ、それらをずっと胸の奥に大切にしまっておける。
時折、その本の一節を、一枚の写真を、
ふっと思い出して、励まされたり勇気づけられたり
笑顔になれたりする。
本は、そんな「親友」のような存在になりえるものだと思います。
これから、どんな「親友」に出会えるのか?
どんなことを知り、どんなことを考え、
どれだけ感情を揺さぶられる経験ができるのか?
そう思うとワクワクしますね。
読書体験の旅は、これからもまだまだ続くのです。
この夏は、どんな一冊に出会えるかな・・・?
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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