Miyukeyの気まぐれブログ

愛媛県在住のアラフォー主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪現在は、仕事繁忙期のため月に2回の更新となっていますが、よろしくお願いいたします☆

【長楽館】さまざまな記憶を宿す京都の洋館で至福のティータイムを☆

 

京都への家族旅行が決まり、「どこへ行きたい?」と問われて

私がまず言ったのは・・・

「長楽館」!!

あの洋館の静けさと、時の流れ方、往時の華やかさをそこここに残した美しさ・・・

それらが、懐かしく胸に蘇ってきて、どうしても訪れたくなったのです。

 

 

我が家の菩提寺は、この長楽館の近くの寺にあることもあり、

幼い頃から何度も訪れる場所のひとつでした。

もう今はこの世にいない祖母や大叔母たちと過ごした想い出の場所でもあります。

愛媛に移り住んでから、足が遠のいてしまい

5年ぶりに訪れることになりました。

今回は、母、叔父、伯母と4人での京都旅行です。

 

☆この記事は、2025年10月16日に長楽館を訪れたときの振り返りです。

 写真や情報は全てそのときのものです。

 

 

長楽館。

京都の円山公園沿いに佇む美しい洋館です。

明治時代、「煙草王」と呼ばれた実業家:村井吉兵衛が建てた

迎賓館であり別邸。

 

 

 

一歩、足を踏み入れたその瞬間から、空気がガラリと変わります。

伊藤博文、大隈重信など名だたる要人たちが足繫く訪れていた時代の空気が

まだそこに残っているような・・・

 

 

 

 

予約をしたときに、「美術の間」に部屋の希望を入れていたのですが

通されたのは、なんと中華の間!!

 

 

 

お部屋は確約ではないため仕方ないのですが、

好んでよく行くのは「美術の間」です。こちら↓↓

 

 

 

京都出身の画家:中村白玲の日本画が飾られたお部屋。

当時は美術室だったそう。

 

紫陽花の絵画って、意外と珍しい気がします。

私の誕生日は紫陽花の季節ということもあり、

一年中、紫陽花が見られるこのお部屋で過ごすのが

母と私のお気に入りの時間でした。


お部屋に飾られている美術品をひとつひとつ見るのも至福の時間・・・☆

 

 

・・・が、今回は、4人同じテーブルに座れないためお断りされてしまいました。

 

中華の間も充分、素敵なのですが、

どうしても諦めきれずにいると

「それでは」と、給仕の方が気を利かせてくださいました。

 

 

 

球戯の間へ・・・素敵~☆

その昔は、ビリヤードを楽しむ部屋だったそうです。

 



 

 

大理石婦人像 フランス ヴィチ作 1880年ごろ

 

 

こんな美しい部屋でビリヤードを~・・・!!??

天井の模様やグリーンの壁、

ゆらぎのあるガラス窓越しに見える木々、大きなシャンデリア・・・

全てが、心を満たしてくれる美しさ。

 

 

 

長楽館を訪れると、いつも注文する「ビーフフィレカツサンド」。

 

 

肉厚でやわらかい牛フィレがたまらない~☆

サクサクしたトーストとの食感のバランスも絶妙。

何度食べても、また食べたくなる美味しさ・・・

ハートの器に入った温野菜と、ピクルスも♪

 

デザートはクラシックモンブラン。

和栗をたっぷり使った美しいケーキ☆

 

甘さ控えめの香ばしい風味を生かしたマロンクリーム。

底辺のメレンゲの器と

お皿を彩るラム酒のソースが絶品です!!

ほんの少しのコーヒーアイスがアクセントに。

 

母と叔母が食べたマロンのショートケーキと、

叔父のスコーンも、とっても美味しかったみたい。



 

その昔、煙草王として名を馳せた村井吉兵衛は、

この豪邸で、名だたる要人たちとどんな社交を繰り広げたのでしょうか。

日清戦争をきっかけに需要が伸びた紙巻きたばこの販売競争。

明治のたばこ業界の熾烈な闘いの中で、

アメリカの技術にいち早く目をつけたのが村井吉兵衛でした。

自ら渡米し、葉の輸入や機器の導入を行い

モダンな広告デザイン、斬新な宣伝方法で、一躍、日本のたばこ業界に

大旋風を巻き起こした村井。

その先見の明と、たばこビジネスに賭けた想いで、

巨万の富を築き、日本に新たな産業の礎をもたらしたのです。

明治という時代を生き抜いた一人の実業家の情熱を思いながら

そっと洋館が物語るストーリーに耳を傾けるひとときは

とても贅沢なものでした。

 

長楽館BOUTIQUE(ギフトショップ)で売られているパイは

村井吉兵衛のタバコのデザインを復刻したもの。

現代でも充分通じるおしゃれさ!さすが〜☆

 

 

村井吉兵衛について、私が初めて詳しく知ったのは、

東京の「たばこと塩の博物館」を訪れてからのこと。

歴史や背景、村井吉兵衛という人物を知ることで

長楽館が、私にとって、さらに奥深いものとなりました。

この記事の8章目を、ぜひお読みください。

 

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前回、訪れたときは、門の前に行列があり

入る前に、庭園で20分くらい待たされた覚えがあったのですが

今日は、とっても静か。

雨模様の平日ということもあるのかもしれません。

給仕の方が

「今日は貸し切りのようなものなので、自由に他のお部屋も観て頂いて

けっこうですよ」

と言ってくださったので

お言葉に甘えて、お部屋を見て回らせてもらうことに。

 

 

 




 

目をやるところ全てが、ため息ものの美しさ。

以前は気づきませんでしたが、展示室があり、

長楽館の歴史や当時の写真パネルなどがあって

とても興味深かったです。

 

 

 

 

 

美しい美術品の数々にも目を奪われながら・・・

 

もっとたくさん写真を撮ったつもりだったんですが、

意外とお部屋の写真は、あまり撮っていなかったみたい・・・

 

 

 

皆でお墓参りをして、帰りにここへ来て、お茶をして・・・

わがまま放題だった私は、よくここでも、ぐずったような記憶があります。

でも、そんなときも、いつも笑顔で私をあやし、なだめてくれた祖母。

その優しく柔らかな笑顔が、いまでも鮮やかに蘇ってきます。

今日のことも、いつか、懐かしく思い出すことがあるのでしょうか。

そのとき、私はどこに住んでいて、どんな姿で、

どんな生活をしているのかな?

この長楽館で過ごした幸せな記憶、家族に愛されて過ごした日々の想い出を

いつまでも大切にしたいです。

 

 

歴史ある洋館って、不思議。

建てられた当初の様々な人々の記憶、

そして、その役目を終えて、次はカフェとして

多くのお客さんの小さな思い出の断片をたくさんここに宿して

これからもずっと、この場所にあり続ける・・・

あり続けてほしいと思います。

 



 

 

京都の家族旅行は、とても思い出深いものとなりました。

いろいろな場所を訪れましたが、長楽館で過ごした時間は

とても心に残っています。

また、機会があれば、京都の他の場所についても

こちらのブログで書きたいと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

今回の京都旅行の前に読んだ本。

甲斐みのりさんの独自の感性で描かれたエッセイとお店の紹介。

何度も訪れた京都なのに、知らないお店がいっぱいあって、びっくり。

長楽館も紹介されています。

 

次は、この本が気になっています・・・。やっぱりレトロ建築が大好き!

 

<洋館好きな私の過去記事>

 

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居場所のない若者たちの叫び|映画「タロウのバカ」が映し出す生と死

「生きる」こと、「死ぬ」こと、

そして、誰かを「愛する」ということ。

社会の闇を映し出すことで、それらの意味を鋭く問いかける映画

「タロウのバカ」。

2019年公開の映画ですが、そこで描かれている社会問題は

現代にも通じるものばかり。

いや、いまだからこそ、私たちひとりひとりが

もう一度、目を向け、考え直さなければならない問題ばかりです。

監督は、「日々是好日」、「さよなら渓谷」などの大森立嗣監督。

主演は演技未経験で挑んだYOSHIと

大河ドラマでもおなじみの菅田将暉と仲野太賀。

三人それぞれの個性と実力がぶつかり合う共演もみどころです。

今回は衝撃の問題作「タロウのバカ」をご紹介します。

タロウのバカ

 

<<目次>>

1 生と死の狭間を生きる青年たち

2 「好きって何?」

3 個性と実力がぶつかり合う俳優陣の共演

4 「タロウのバカ」が問いかけるもの

 

1、生と死の狭間を生きる青年たち

主人公は、戸籍がなく学校へ通ったことがない少年タロウ(YOSHI)と

柔道でつまずき、家にも学校にも行き場を失ったエージ(菅田将暉)、

売春を繰り返す同級生に辛い恋をするスギオ(仲野太賀)

三人の、社会から疎外された青年を描いた作品。

ある日、偶然にも拳銃を手に入れてしまったことから

三人の運命が大きく狂い始めます。

 

 

生きづらい世界で生きている彼らが

拳銃を手に入れたときの、無敵感。

しかしそれは同時に、引き金を引きさえすれば、

一瞬でなくなる「いのち」というものの気づきでもありました。

 

 

「これで人間なんて、すぐ死ぬんだな」

「虫みたいだよ、虫」

 

死と隣り合わせで生きているという実感が

青年たちを、いっそう激しく、大胆に刹那的な生へと駆り立てます。

 

 

 

タロウ:「死んだらどうなるの?」

エージ:「どうもならんだろ。ただ、まっくら。ぜんぶ終わり」

 

 

作中には、たくさんの「死」が描かれます。

この世に、軽いいのちなんて、ひとつもない。

かけがえのない、尊い一人一人の人間のいのち。

でも、本当に、この世界の「いのち」は

そのように扱われているのでしょうか。

いまも、誰からもかえりみられることもなく

「虫のように」死んでいく人々がいるということ。

戦火の中で、大量虐殺される人々。

名もない人々のいのちは、時として軽く扱われるという現実。

青年たちの言葉から、そして生き方から、

この世界の現実の矛盾を突きつけられます。

 

 

「俺、死んだっていいよ」

 

辛く厳しい現実の真っ只中を生きるタロウとエージの言葉の数々は、

鋭く胸に突き刺さります。

 

2,「好きって、なに?」 

 

作中で、繰り返し出てくる言葉があります。

「好きって、なに?」

人を愛するということ。

愛されるということ。

愛情に飢えた少年は、「好き」という感情すら理解できない。

河原で出会った知的障害のカップルやスギオが抱く真っすぐな恋心、

我が子への無償の愛に向ける、タロウの純粋な疑問の目。

そして、売春を重ねざるを得ない、

そのことでしか人のぬくもりを感じられない女子校生、洋子もまた

同じ問いを口にします。

 

たすけて・・・わかんないの。ねぇ、スギオ、好きって何?

 

愛することがわからない洋子への、深い愛情が、スギオの運命を変えていく

 

 

 

 

 

この映画のキーワードのひとつともいえる、

「祈る」。

彼らの心の祈りは、叫びは、

いつか誰かに届くのでしょうか。

 

タロウは、飛んでる。

俺も飛ぶ。

でも飛ぶと、落ちたとき・・・死ぬ。

 

冒頭の、エージの印象的な独白。

彼にとっての「飛ぶ」とは何だったのか。ぜひ本編を観ていっしょに考えてください。

 

3,個性と実力がぶつかり合う俳優陣の共演

 

自暴自棄になって暴力と非行に走る高校生エージを演じた菅田将暉と

叶わぬ恋にやるせなさと、どうしようもない焦燥感を抱えたスギオを演じた

仲野太賀の演技は、説明不要の素晴らしさ。

さすが現在も注目を集める実力派俳優だなあと思いました。

 

現在は、大河ドラマで活躍中の仲野太賀(右)と菅田将暉(左)

圧倒的な演技力で、生と死の狭間を生きる青年を演じた

 

 

26歳の大俳優二人とともに、唯一無二の存在感を見せたのが

映画初出演にして初主演のYOSHI。当時15歳。

監督は300人以上もの子役のオーディションを行いましたが

「タロウ」は見つからず。

監督自ら「14歳 有名人」とネットで検索し、見つけたのがYOSHIだったそうです。

当時は、中学生インスタグラマーとして

異彩を放っていたYOSHIの圧倒的な存在感から、白羽の矢が立ったとか。

YOSHIの「変に社会化されていない」魅力に

「タロウがそこにいると思った」と監督。

 

帰ってこない母親を、独りで待ち続けるタロウ。


純粋で、無垢で、本能のままに生きるタロウ。

時折、見せるうつろな瞳。その中にひらめく狂気。

やり場のない怒りや、どうしようもない孤独、

でも、学校に行ったこともないタロウには、

その感情をうまく表現する術さえもわからない。

世間では「犯罪」と呼ばれることでしか、生きるという実感もつかめない。

狂気と無垢の危うさ。

演技の技術というよりも、豊かな感性と、彼にしかない表現力で演じたからこそ

観る者に訴えかけるものがあります。

 

将来は、どんな俳優になるのか?と期待せずにはいられないのですが

YOSHIは、惜しくも2022年、19歳という若さで亡くなっています。

本作が、唯一の映画出演作になってしまいました。

彼が演じたタロウの姿は、

社会の闇に、否応なく目を向けさせるものだと思います。

この映画を観た人なら誰もが、彼の演技を忘れることはできないでしょう。

 

私が一番好きだったシーン。

YOSHIの迫真の演技と、

タロウのセリフの中に込められた悲しみが胸に迫ります。

 

おばさん、子どもいるの?

子ども、かわいい?

おばさんの子ども、人を殺したら、どうする?かわいい?

ぼくがおばさんを殺しちゃったら、許してくれる?

 

両親に愛されたことがないタロウが

公園で出会った見ず知らずの主婦に問いかけます。

タロウが「好き」を実感できる日はくるのでしょうか。

 

4、映画「タロウのバカ」が問いかけるもの

 

育児放棄、売春、暴力、障害者の人権や戸籍のない子ども・・・

この映画に詰め込まれた闇は、

映画公開から7年経った現在もなお、大きな社会問題です。

世界って、変わらないなぁと思います。

 

私たちは、この世界の様々なことを、

かなり詳細に知ることができる時代に生きています。

この社会の、ありとあらゆる問題を「知っている」。

それだけで、自分は「知った」気になってしまっているけれど、

でも、ほんとうに考えたことが、感じたことがあるんだろうか?

その人たちが生きた人生を、気持ちを、抱えた想いを。

この映画を観て、私は一番にそれを感じました。

戸籍がない子どもは、推定一万人以上。

10代の死因の第一位は自殺。

いまも、この映画で描かれたようなことが

現実に起こっているのだということ。

目を背けたいけれど、決して背けてはいけないもの。

この世界にたくさんいる、タロウとエージとスギオが、

ほんの少しでも生きやすい世界になりますように。

救われる社会が実現しますように。

心から祈らずにはいられません。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

参考:

「現代の神話的なものを作りたかった」 『タロウのバカ』大森立嗣監督インタビュー - レポート

大森立嗣監督インタビュー:『タロウのバカ』で変えた自分、変わらず残った思い | nippon.com

 

 

大森立嗣監督は、

私が大好きな小説家・今村夏子さんの「星の子」の映画化も手掛けています。

・・・観たい!!主演は芦田愛菜。

 

星の子

星の子

  • 芦田愛菜
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ちなみに小説「星の子」について書いたブログは、こちら。

新興宗教にのめりこむ両親を持つ少女を描いた衝撃の一冊。

miyukey.hatenablog.com

 

星の子 (朝日文庫)

 

 

「タロウのバカ」にはパレスチナの詩人マフムード・ダルヴィーシュの「壁に描く」が引用されています。読んでみたくなりました。

 

 

タロウ役を演じた才能溢れるアーティトYOSHIについて

詳しく書いた記事が、こちらです。

 

miyukey.hatenablog.com