Miyukeyの気まぐれブログ

関東在住の30代主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪

今村夏子「こちらあみ子」。衝撃の一冊(感想)

「むらさきのスカートの女」で芥川賞を受賞した

今村夏子さんのデビュー作「こちらあみ子」の感想です。

こちらあみ子 (ちくま文庫)

 

衝撃だった。こんな小説が、あるなんて。

東京駅から新大阪行きの新幹線の中で文庫本を開いたはずなのに

私は小学校にいた。

前歯が三本抜けたあみ子を、ライオンみたいな田中先輩を、

薄茶色い前髪を揺らすのり君を、お母さんのほくろを

この目で見た。

習字教室に充満する墨の匂いをかぎ、

あみ子がかじったとうもろこしの甘い汁を私も感じた。

本の中の世界は全て、ありありと私の前に浮かんできた。

先を読みたくて、どうなるんだろうと、

ぐいぐい磁石のように引き付けられて離れられない。

一文一文の行間にひそむ闇、独特の世界観が、深い。

この深さは、作者今村夏子さんが、

真に「人間」を鋭く深く観察されているからこそ

描ききれたものなのだろう。

会話の中の広島弁インパクトがあって印象的だ。

 

あみ子という人物を表現するのに、どんな言葉がふさわしいか。

町田康は「一途」「ピュアー」、穂村弘は「『あり得ない』の塊」

と書いた。

確かに文字にするとそんな感じだ。

でも、あみ子のもつ世界は表現しきれない不思議さと魅力と純粋さがあり、

文字にすると、「なんかちがうなあ」と思ってしまう。

そんなあみ子が歩む壮絶な毎日、彼女を取り囲む「普通の人々の世界」、

そして壊れゆく家族、痛すぎる恋。

 

今までの人生で、本はけっこう読んできたほうだと思うけれど、

「こちらあみ子」は、これまで読んだどの本にも似ていない。

この世に、こんな本があることが衝撃で、

そして、なにより嬉しく思う。

6年も前に出版され、話題にもなり、

本屋で目の前を通り過ぎていたはずなのに、

手に取らなかった。

もしかしたら、一生、出会わなかったかもしれない。

そう思うと、ぞっとする。

広い世界で、山ほどの本が存在する中、

この一冊に出会えた。

本との出会いもまた、人との出会いと同様、

尊いものだと思う。

この小説は、私の宝物になった。

 

ここまで書いたところで、「こちらあみ子」の感想を

ネットで調べてみた。

思ったとおり、いろいろな感想、たくさんの解釈がある。

 解説で町田康さんが

 

「『こちらあみ子』は、いろんな面があって、いろんな風に読み、

いろんな風に感じることができ、それがこの小説の凄みになっている」

 

と書かれている通り、

この小説は、読み手によって、非常に様々な解釈ができる作品だと思う。

私はいつも、優れた芸術、音楽、文学というものは、

受け手によって、様々な受け取り方ができるものだと思っている。

いろいろな光に照らされて、変幻自由に輝く宝石のように

読者一人一人の心や経験や性格が投影され

無限に解釈が分かれる作品が面白いと私は思う。

もちろん、文学作品には「書き手」がいるのだから

作者の意図すること、伝えたいメッセージを無視することはできない。

しかし、それは、ある程度「読み手」に託されるべきものである。

解釈が正しいか、正しくないか、読みが深いか、浅いかではない。

正解は、ない。不正解も、ない。

全ての人々の解釈を受け入れる懐の広い、包容力のある作品が

文学史上に残っていくのだろう。

 

「こちらあみ子」の読者一人一人が、

ブログやネットで自由に「あみ子」を、

そして「あみ子を取り巻く世界」を解釈しているのを読んで、

私はあらためて強く確信した。

世代を超え、さらには時代を超え、多くの人々にとって、

この作品は宝物になるのだと。

あなたは、この一冊を、どう読みますか?

 

こちらあみ子 (ちくま文庫)

こちらあみ子 (ちくま文庫)

 

 

 

あひる (角川文庫)

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【第161回 芥川賞受賞作】むらさきのスカートの女

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最後までお読み頂きありがとうございました。