Miyukeyの気まぐれブログ

愛媛県在住のアラフォー主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪現在は、仕事繁忙期のため月に2回の更新となっていますが、よろしくお願いいたします☆

高知県立牧野植物園☆「好き」を極めた牧野富太郎博士の情熱が詰まった場所

猛暑が続くお盆の連休に高知県を旅行しました。

お目当てのひとつは、なんといっても高知県立牧野植物園!!

「植物学の父」と呼ばれ、日本の植物学の推進に大きく貢献した

植物学者・牧野富太郎の植物園です。

朝ドラの「らんまん」の主人公のモデルといったらピンとくる方も多いはず。

自身を「草木の精」「植物の愛人」と呼び

「植物と心中を遂げたい」とまで言った牧野博士の情熱が詰まった

植物園をご紹介します。

ここを訪れるにあたって読んでおきたい本も最後にご紹介しておりますので

参考にして頂ければ嬉しいです。

 

1、牧野ワールドの始まり

ウネウネとした急な上り坂を車で登っていきます。

両側の木々や草木が、まるで緑のトンネルのよう・・・

もうここから牧野ワールドが始まっているのです。

木漏れ日がちらちらと舞って、私達を歓迎してくれているよう。

途中にある牧野博士の銅像は、写しそびれました・・・残念!

 

2、土佐の植物生態園とスエコザサ


「土佐の植物生態園」。

生い茂る木々と水の流れに、ひととき暑さを忘れます。

 

植物ラベルが、びっしりと。

 

 

回廊を渡っていきます。

山並みが美しい・・・!

幼い頃は病弱だった牧野少年でしたが、植物の魅力にとりつかれ、

山野を駆け回っているうちに丈夫な体を手に入れたといいます。

この山を見ていると、目を輝かせて植物採集をしている牧野少年の姿が

見えるように思えました。

 

 

「家守りし 妻の恵みや わが学び 世の中の あらん限りや すえ子笹」

 

回廊の途中にある「スエコザサ」の石碑です。

「壽衛(スエ)」というのは牧野博士の妻の名前。

小学校中退の学歴ながら

飛び抜けた知識と研究への熱意で東京大学理学部研究所の教授たちを驚かせ、

世界中の植物学界に名を轟かせた牧野富太郎博士。

しかし、その研究の道のりは、波乱万丈でした。

造り酒屋の裕福な家に生まれながらも、研究費用や採集旅行費、膨大な書籍代などで

常に経済的には火の車、

そこに13人も子供が生まれて、ついには借金を抱え込むことになります。

嫉妬や妬みにより、行く手を阻まれることも少なくありませんでした。

そんな数々の困難を陰で支え続けたのが、妻・壽衛さんです。

そんな妻への愛と感謝をこめて、自身が発見した新種の笹に妻の名をつけたのだと

いいます。

控えめだけれど、芯の強さを感じさせるスエコザサ。 

13人もの子供を育て、6人と死別し、貧しさと闘いながらも

55年の生涯をかけて、夫に寄り添い支え続けた壽衛さん。

牧野富太郎の功績の裏には、強く優しく生きた女性の存在があったのですね。

 

3、牧野博士の集大成!「牧野日本植物図鑑」

 

一度は見てみたいと思っていた「牧野日本植物図鑑」が

中庭文庫(ブックカフェ)にありました!

 

牧野博士が、それまでの研究の集大成として出版した植物図鑑です。

70歳から執筆、編集に取り掛かり、約7年間、

東京帝国大学の講師の仕事もしながら、徹夜も辞さずに

心血を注いで完成させたこの一冊は、牧野博士の代表著作であり

最高傑作と言われています。

 

 

 

びっっしりと書きこまれた説明と緻密な画。

図鑑を手にした時のずっしりとした重みに、

博士の並々ならぬ熱量と、それまでの研究の歩みの重さを

ひしと感じた気がしました。

 

 

 

80歳を過ぎてもなお、早朝から深夜2時まで研究に没頭し続けた牧野博士。

写真は、牧野記念館展示館内の蝋人形。

 

晩年の研究ノート。

90歳を過ぎても、病床から双眼鏡を使って庭の草木の観察を続けたり

原稿を書き続け

96歳で亡くなる直前まで、研究への熱意は決して衰えることはありませんでした。

 

4、生涯をかけて貫いたもの・・・

              牧野富太郎記念館 展示館

いよいよ展示館へ。

 

年代別にわかりやすく説明してあり、とても興味深く充実した展示室です。

 

新聞紙に保存された標本。

博士が生涯で日本全国から集めた標本は、なんと40万枚!

朝ドラ「らんまん」で大量の新聞紙が常に積み上げられていましたが

あの一枚一枚に、この押し葉があったのですね・・・!!

植物と標本に埋まった部屋を見て、同僚たちは

「マキノの部屋は狸の巣だ」と噂しあったそう。

近年は、当時の新聞紙の価値も高まっているそうです。

 

山に入る時は、いつも肩に下げていた「胴らん」。

着物一枚で西日本最高峰の石鎚山に登ったり、 

時には大けがをしても、医者も驚くほどの回復力を見せ数日で治ったり・・・

まさに植物学を極めるために神に優遇されているかのような牧野博士。

この胴らんは、博士の身体の一部となって、全てを見てきたのですね。

 

ロシアの植物学者・マキシモヴィッチからの手紙。

牧野博士の活躍に嫉妬した東大教授が研究室への出入りを禁じたことから

国内での研究に行き詰り、

博士の研究を高く評価していたマキシモヴィッチを頼ってロシア行きを決意。

しかし、渡航直前でマキシモヴィッチは急逝。

ロシア行きは断念せざるをえなくなりました。

海を隔てて一度も会ったことのない、けれど心は通じ合っている

偉大な二人の学者の、敬いの気持ちが、この手紙から伝わってくるように思いました。

 

旅行の行程上、1日目はここまでで引き揚げました。

でも、まだ観ていないところがいっぱいで心残りになりそうだったので

旅行最終日の3日目、再度訪れ、温室を堪能しました。

 

5、ジャングルを冒険?自然の神秘を感じて・・・温室

温室。

一歩、中に入った途端、別世界です。

「ジェラシックワールドの世界みたい!」と喜ぶ夫。

・・・え! 向こうから恐竜の鳴き声が!!

・・・と思ったら、子供の泣き声でした(笑)

 

 

まるでジャングルの中に迷い込んだみたい。

細い入り組んだ小さな道もたくさんあって、ちょっとした冒険気分です。

 

 

ただ歩いているだけでも、うっとりしてしまう美しい温室。

普段は決して見られない貴重な植物をたくさん見ることができ、

自然の神秘を感じました。

 

 

 

中でも面白かったのは、牧野博士が日本で初めて発見し

和名をつけた食中植物「ムジナモ」。

牧野博士が書くと、ムジナモも、こうなります(右)

 

温室は当然ながら、暑い!

でもそれを上回る感動がありました。

植物の形、色、匂い・・・すべてに「意味」と「役割」があるのですね。

自然って、本当におもしろい!

 

 

5、「好き」を超えられるものはない・・・

         「草木の精」が遺したものは

 

日本の植物学の推進に大きく貢献した牧野富太郎博士。

妬みによる研究妨害、経済的困窮、子どもたちの死や大災害・・・

様々な困難に足をすくわれることがあっても

その度に手を差し伸べてくれる人が必ず現れました。

それだけ世の中に求められる人であったということはもちろんですが

人望も厚く、その天真爛漫な性格と植物にかける情熱は

世間が放ってはおけないものだったのでしょう。

「好き」であることを生涯をかけて貫いた人。

何かを「好き」という気持ちは、結局、何をも打ち負かすのかもしれません。

植物園を訪れ、

博士の愛用品、書簡や標本などの資料を間近に見ることで

ドラマや本では感じられなかった「一人の人間」としての

等身大の牧野富太郎博士を感じ、

情熱のままに駆け抜けた96年の歩みを垣間見ることができました。

まっすぐに「好き」を貫いた博士の生き方は

私たちに、「幸せに生きることとは何か」「自分が生涯をかけて貫きたいものとは?」

「好きなものを、とことん深めていくことの大切さ」など

多くのことを教えてくれます。

 

暑い盛りの植物園でしたが、展示やミュージアムショップが非常に充実していて

充分楽しめました。

暑すぎて見られなかった場所が屋外にはたくさんありますが

また気候の良い時に、再度訪れたいと思います。

 

大きな木の下にひっそりと佇む碑。

「花在ればこそ、吾れも在り  牧野富太郎

 

土佐の植物園から見た展示室。

また来るからね☆

 

<牧野植物園を訪れる前に・・・おすすめ本>

 

牧野富太郎博士の人生をサクッと知りたい方におすすめ。

簡潔におもしろくまとめてあってわかりやすいので

時間のない方やお子さんにもおすすめ。

 

 

牧野博士の「生き方」に着目し

随筆集から抜粋した短文や言葉を集めた一冊。

牧野富太郎の書いたものを読んでみたいけど、植物学に関する専門的な難しい話はちょっと・・・」

という方には、ぴったり!

様々な困難を乗り越えて研究に邁進した牧野博士の言葉は

含蓄があり、心に響きます。

 

 

牧野博士の随筆集。

植物学の話はもちろんですが

家族への想いや自身の幼い頃の話、研究のエピソードなども書かれていて

非常に興味深い一冊です

牧野博士を深く知りたい方は、ぜひご一読を。

特に巻頭の随筆「なぜ花は匂うか」は必読です。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました☆

 

<過去記事紹介>

 

miyukey.hatenablog.com

 

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