Miyukeyの気まぐれブログ

愛媛県在住のアラフォー主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪現在は、仕事繁忙期のため月に2回の更新となっていますが、よろしくお願いいたします☆

100円ショップでウィリアムモリスを買うことについて☆ 「アーツ・アンド・クラフツとデザイン」展で考えたこと

美しくエレガントなデザインで、時代を問わず大人気の

ウィリアム・モリス



ウィリアム・モリスのデザインは、幼い頃から知っていました。

でも、高級感溢れるデザインに、なんとなく直感で

気軽には手を出せないもののような気がしていました。

だから・・・最近になって、100円ショップSeriaで

ウィリアム・モリス柄のグッズを見た時にはびっくり。

ネットでも話題になりましたし、飛ぶように売れたようです。

 

ぜーんぶ欲しいけど、ぜーんぶ欲しくない。。

オシャレでかわいいウィリアムモリス柄がお安く手に入る!のは嬉しいはずなのに、

なんとなーく複雑な気持ちがして

結局、その時は何も買わずに店を後にしたのでした。

その「複雑な気持ち」に向き合うことなく月日は流れましたが、

先日、「アーツ・アンド・クラフツとデザイン」展へ足を運び、

そのときの気持ちを再度考え直すきっかけをもらえました。

今日はそのことを書きたいと思います。

 

 

1、「アーツ・アンド・クラフツ」の理念と

          100円ショップは相容れるのか

 

18世紀のイギリス。

産業革命で機械化が進み、安価で粗悪な商品が大量に生産されました。

その現状に、待ったをかけたのがウィリアム・モリスだったのですね。

彼が提唱した「アーツ・アンド・クラフツ」運動の理念は

それまでの職人たちの丁寧な手仕事を復活させ、

美しく質の高いものを生み出すことでした。

彼の理念に賛同した芸術家たちが加わり

「アーツ・アンド・クラフツ」は脈々と受け継がれていくことになります。

 

ジョン・ヘンリー・ダール「ゴールデン・リリー」(1899年)

 

さて、現代の100均といえば、

「機械で大量に作られたもの」を「安値」で売っているショップ。

そこで「手作業で質の高いものを作ることを提唱したウィリアム・モリス

のデザインを買うということに、

私は「複雑な気持ち」になったんだなと気づきました。

けれど、現代の100円ショップの商品は「粗悪品」ではありません。

値段の割には十分に満足できる質で、100円とは思えない機能を備えたものも

少なくない・・・

アーツアンドクラフツの理念自体は相容れないと思いますが、

「安価=大量生産=質が低い」が当たり前だった産業革命時代と現代では、

当然ながら時代が違うのです。

 

 

2、天国のウィリアム・モリスさん、

        あなたはどう思いますか?

 

 

 

ウィリアム・モリスのデザインを、なぜ今の私達が

100円ショップで買えるかというと、

モリスの死後70年以上が経ち、著作権が切れているためだそうです。

ウィリアム・モリスは、

100円ショップに自分がデザインした商品が並んでいるのを見て

どう思うでしょうか?

大量生産、粗悪な質とデザインに異議を唱えたものの

時間をかけて作った質の高い商品は、結局、富裕層にしか広まらず

モリスはその矛盾に悩まされたこともあったそうです。

そのようなことを考えると、安価であるわりには質も満たしている

100円ショップは意外とモリスのお眼鏡にかなう?かもしれません。

 

ただ、問題なのは、100円だから、安いからと

ろくに考えもせずに手を伸ばし、

気に入らなくなったら捨てる、流行らなくなったら捨てる、

あるいは部屋の隅でホコリをかぶっているというような状態ではないでしょうか。

ファスト・ファッション、ファスト・フード。

現代は何かと「早く、安く、手ごろな」ものがもてはやされます。

モリスが危惧した通りの風潮の中で

彼のデザインが売れているということは

皮肉にも思えます。

 

ウィリアム・モリスはこんな名言を残しています。

 

「役に立たないもの、美しいと思わないものを家に置いてはならない」

ウィリアム・モリスとそのデザイン

 

「暮らしのために使わざるを得ないものを、使うのが楽しくなるものにすることだ」

素朴で平等な社会のために -ウィリアム・モリスが語る 労働・芸術・社会・自然-

 

 

富裕層だけでなく、一般庶民である私達も、美しいものを

取り入れられるようになった時代。

だからこそ、私達の「美を見極める力」が試されている時代だとも

いえるのです。

ウィリアム・モリスのデザインは、私達の美意識や、

生活や暮らしに対する姿勢を静かに見守り、

時に警笛を鳴らしているように思えてなりません。

 

3、最後に「アーツ・アンド・クラフツとデザイン」展を、

ちょっとだけご紹介

 

 

愛媛県 新居浜市美術館で2024年6月31日まで開催中の

「アーツ・アンド・クラフツとデザイン」展へ。

愛媛県の田舎町へ、よくぞ巡回してくださった・・・☆

 

ウィリアム・モリスは好きなのに、彼の思想や彼が生きた時代のこと

人生を賭けて追い求めた理想と直面した矛盾など、

私は何にもわかってなかったんだなと改めて実感・・・

今もまだ、ざっくりとしか知りませんが、この展覧会で興味が湧きました。

 

美しいデザインを堪能しながら、「アーツ・アンド・クラフツ」の変遷を

追うことができるウィリアム・モリス好きにはたまらない展覧会。

 

 

新婚時代に庭にあった生垣をモチーフにしたという「格子垣」(1864)。

初期の作品で、初々しさが残りますが、この頃から、モリスの自然美に対する姿勢が

うかがえます。

 

 

 

モリスの代表作「いちご泥棒」も、庭のいちごをついばみにきたツグミをデザインしたもの。(1883)

題名もかわいいですよね。

 

ウィリアム・モリスの次女メイ・モリスがデザインした「すいかずら」(1883)。

女性らしいタッチがとても好きな作品です。

 

 

 

モリス商会のジョン・ヘンリー・ダールのタペストリー「リスとナイチンゲール」(1895年ごろ)は見事でした。

彼は若い頃からモリスのもとでタペストリー制作を学んだデザイナー。

忠実に描かれたリスと鳥、美しい色合い・・・圧倒的な美!!

 

デザイナーとしての活動が有名なウィリアム・モリスですが、実は詩人でもあります。

美しい本を作ることにも情熱を燃やしていたのだそう。

展覧会には閉じるのが勿体なくなりそうな本がズラリ。

 

アーツ・アンド・クラフツの、色褪せることのない「美」を堪能できる

展覧会でした。

 

4、都合が良すぎる解釈かもしれませんが。

 



ウィリアム・モリスのデザインは、約1世紀以上経ったいまも

世代や国を超え、大人気。

100円ショップで手に入れられるようになったことから、

ますます身近なものとなったのではないでしょうか。

モリスがどう思うかは、いまや誰にもわかりません。

確かに「アーツ・アンド・クラフツ」の理念とは逆をいく100円ショップですが

もし私たちが、モノを大切にし、デザインに敬意を払い、

生活の中に美を取り入れるのであれば

ウィリアム・モリスも喜ぶのでは?と考えるのは

都合が良すぎるのでしょうか??

あなたは、どう思いますか?

考えたことをグダグダと書いたブログを

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

<過去記事紹介>

 

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