Miyukeyの気まぐれブログ

関東在住の30代主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪

谷崎潤一郎の旧居「倚松庵」☆小説「細雪」の舞台となった歴史的建造物を訪ねて

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                                       2020年1月撮影


阪神電車魚崎駅」から徒歩6分。

神戸市東灘区に、その邸宅は建っています。

谷崎潤一郎の代表作「細雪」が執筆された旧居

「倚松庵(いしょうあん)」。

絢爛豪華な小説絵巻「細雪」の舞台となったこの邸宅を

訪れたのは、2020年1月のこと。

その後、コロナ禍により長らく休館していましたが、

明日2021年3月6日(土)より開館されるそうです。

今回は文豪・谷崎潤一郎が愛し、

実際に住んでいた歴史的建造物「倚松庵」をご紹介いたします。

 

1、倚松庵とは

 

倚松庵(いしょうあん)は、兵庫県神戸市東灘区に建つ歴史的建造物。

文豪谷崎潤一郎の旧居。

ここで執筆された代表作にちなんで「『細雪』の家」とも呼ばれる。

谷崎潤一郎1936年11月から1943年11月まで居住した

1986年に、倚松庵が所在する住吉川畔に神戸新交通六甲アイランド線の橋脚建設計画が持ち上がると、

1990年(平成2年)に神戸市は建設を強行し、倚松庵は同じ東灘区内の現在地に移築された[1][2]

抜粋:倚松庵 - Wikipedia 

 

 関東大震災によって関西に移り住んだ谷崎は

妻・松子と、その妹たち、娘とともに

この家で過ごしました。

代表作「細雪」は、実際に倚松庵で起こった日常を

かなり忠実に再現した小説であり、

この「倚松庵」を訪れると、

谷崎が描いた小説世界が立ち上がってくるかのように思えます。

 

「 細雪」について詳しくは、こちらの記事の谷崎潤一郎の項をご覧ください。↓↓

miyukey.hatenablog.com

 

 

細雪(上) (新潮文庫)

細雪(上) (新潮文庫)

 

 

2、引っ越し魔の谷崎潤一郎が最も長く住んだ家

谷崎は生涯に40回以上もの引っ越しを繰り返しました。

特に最も引っ越しが多かった1923年から1943年までの

21年間の間には13回も住居を移っており、

一つの家には1、2年しか住まなかったのに対し

「倚松庵」には、7年間も住み続け

関西で最も長く住んだ家となりました。

谷崎は、借家でありながらも、この家を大変気に入っていたといいます。

家主から家屋明渡の督促を受けなければ、

もっと長く住みたかったというのが本音だったのかもしれません。

いずれにせよ、谷崎潤一郎の生涯にとって、

多くの思い出が残る大切な家だったことに間違いありません。

そしてまた、倚松庵での日常は、

細雪」という文学史に残る優れた作品を書く中で

最大のインスピレーションとなったのです。

 

 3、倚松庵を訪ねて

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谷崎潤一郎の旧居「倚松庵」

 魚崎駅から川べりを歩いて行くと

立派なたたずまいの邸宅が現れます。

 

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倚松庵の前にある石碑。

 

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南天の赤がきりりと空気を引き締めている美しい玄関

 

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応接間

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応接間の書架には谷崎潤一郎関係の書籍が並んでいて、自由に閲覧できます。

 

倚松庵で唯一の洋間である応接間は

細雪」に最も多く登場する部屋です。

家主がベルギー人だったこともあり

この当時の日本の家屋としてはモダンな造りになっています。

ステンドグラスのついたドア、マントルピースなど

この当時の上流階級のステータスシンボルと言われるものが

随所に見られます。

 

本棚には、谷崎潤一郎の小説の他、

倚松庵の再建に携わった辰巳都志教授の著書や

谷崎の妻・松子夫人の随筆「倚松庵の夢」などもあり

ソファに座って自由に閲覧できます。

 

倚松庵の夢 (中公文庫)

倚松庵の夢 (中公文庫)

  • 作者:谷崎 松子
  • 発売日: 1979/12/10
  • メディア: 文庫
 

 

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応接間から見える美しい庭。

小説「細雪」の中で、庭はとても印象的です。

倚松庵の庭は、移築後、小説に登場した植物を厳選して植えた

こだわりの庭だそうです。

 

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食堂

食堂のテーブルは谷崎一家が、実際に使用していたもの。

美しい女性たち(家族)と食卓を囲み、

関西弁で語られる温かい会話を聞きながら

楽しい時を過ごした谷崎の姿が見えるような気がしました。

 

テーブルの上の写真は松子夫人の妹、信子さん。

細雪」の美人姉妹の末っ子で自由奔放な妙子のモデル

いわれる方です。

さすが美人さんですね。

 

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二階の八畳間。

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この部屋から「細雪」の物語は始まる。

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冒頭、演奏会へ出かける一家の支度の場面が描かれる部屋がこちら

豪奢な上流階級の美人姉妹が繰り広げる

めくるめく美しい物語を予感させる印象的な書き出しです。

 

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二階の西の部屋。谷崎が実際に使っていた文筆机のレプリカ。

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文筆机上の筆

二階の4.5畳の西の部屋には

谷崎が実際に使っていた文筆机のレプリカが置いてあります。

先述した松子夫人の倚松庵の夢 (中公文庫)には、

この家で過ごした谷崎潤一郎のエピソードがたくさん書かれています。

常々、「100まで生きても書きたいことは書ききれん」と語っていたという谷崎。

谷崎の仕事のスケジュールは、ほぼ会社員と変わらず、

朝起きると、「執筆中」の札を戸に提げて書斎に籠もり、

昼に昼食を食べた後は、また書斎に籠もって執筆、

夕方5時には仕事を終えて、食卓を囲んで家族団らんを楽しんだと言います。

規則正しい人だったのですね。

細雪」は、松子夫人を始め、家族との日常からの

インスピレーションがあってこその小説なので

余計に家族との時間を大切にしていたのかもしれません。

家族団らんまでもが、執筆活動の一環だったのかもしれませんね。

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二階から見た庭

二階から見下ろす庭には、

長女・幸子の印象的なシーンがたくさんあります。

一人娘の悦子が隣家のローゼマリーと遊ぶ姿を

微笑ましく見下ろす場面。

妹・雪子が複雑な気持ちで庭を歩く姿を

そっと見守る場面。

庭はこの家族の心を映し出すように美しく描かれます。

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2階の和室の壁にかけてある松子夫人と谷崎潤一郎の写真

谷崎潤一郎63歳の時の写真です。

生涯3回の結婚をした谷崎が

松子夫人と結婚したのは50歳のとき。

松子夫人とは20歳の年の差婚でした。

それまでの作品「春琴抄」「痴人の愛」「卍」などの

スキャンダラスともいえる倒錯した性を描いた作品とは

作風ががらりと変わり、

また、私生活でも女性遍歴に終止符を打って

落ち着いた生活を手に入れた谷崎。

理想的な夫婦関係を築けた松子夫人は

まさに創作活動のミューズであり、

また最愛の妻だったのではないかと思います。

仲睦まじい二人の写真から、愛情が伝わってくるようです。

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青い空に蜜柑の木が美しい。

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庭から見た倚松庵。

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 建物の中を見学し終え、庭へ。

細雪」の中には美しい庭の描写がいたるところに登場します。

木々を見つめ、季節の移ろいを感じ、

隣家のドイツ人シュトルツ一家と交流する場所・・・

美しい姉妹たちが、それぞれの想いを胸に歩いた庭。

小説世界がそのまま再現されたこの庭にに立つと、

小説の様々な場面が思い出されて、感慨深いものがあります。

 

4、想像で完結する「倚松庵」(正直な感想)

正直な感想を書きたいと思います。

私が小説「細雪」を読んだ時、

舞台になった家は大豪邸だと思っていました。

名家のお嬢さまである四姉妹の

めくるめく豪奢な生活。

上流階級の一家の美しくも絢爛豪華な暮らしの描写こそが

この小説の醍醐味。

そんな彼女たちが住む家なのだから・・・

でも、倚松庵を訪れてみると、

もちろん立派な住居には違いないものの、

驚くほどの広さも豪華さも感じられませんでした。

(注:個人の感想です。↑↓)

上流階級の住居、ましてや日本を代表する文豪の家としては

こじんまりとした印象を受けました。

ただそこにある住居だけを見たならば

谷崎潤一郎の大ファンや「細雪」を読みこんだ人でない限り

「へえー」「ふーん」で終わってしまう可能性もなきにしもあらず。

だから、もし、倚松庵へ行くことがあったならば、思い出してほしいのです。

この家が「想像で完結する家」であるということを。

想像してください。

あの決して大きくはない食卓で、

新しく迎えた美しい家族に囲まれ

文豪が団らんしているところを。

二階の六甲山脈が臨める窓の傍で

文学史に残る名作を書き続ける熱のこもった谷崎の後ろ姿を。

そして、色とりどりの帯や着物を畳一面に広げ

どれを着て行こうかと悩む姉妹たちの美しい姿、

愛してやまない関西を離れ東京へ行かざるをえない美女・雪子が

切ない気持ちで庭を歩いているその華奢な肩。

美しい姉妹たちの発する若く妖艶な匂いや

さんざめく笑い声の響き。

いまはがらんとしていますが、きっとかつて人が住んでいた頃には

豪華な調度品が並べられていたことでしょう。

その全てを想像するとき、

やっとこの「倚松庵」は完成するのだという気がします。

現実に目の前にあるものではなく、

そこにない音、匂い、人々の姿や想いを想像して、

私は倚松庵を満喫しました。

 

5、最後に

 

日本が誇る文豪・谷崎潤一郎

愛してやまなかった住居「倚松庵」。

その佇まいは、その暮らしぶりと

小説「細雪」の世界観を感じさせてくれます。

引っ越し魔であった谷崎が、31年間におよぶ関西生活の中で

最も長く住み、愛した家。

最愛の妻・松子夫人と過ごした日々の名残が

今もなお、そこここに残っているような気がする倚松庵。

ぜひ訪れてみてください。

 

 最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

谷崎潤一郎の恋文 - 松子・重子姉妹との書簡集

谷崎潤一郎の恋文 - 松子・重子姉妹との書簡集

 

 

 注)この記事で使用した写真は全てMiyukeyが2020年1月に撮影したものです。

  

 

 

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