お題「#おうち時間」
旅行に行きたくても行けない・・・
そんな日々が続いています。
まるでその地を旅しているかのように感じられる本をご紹介したいと思いつきました。
今回は沖縄です。
池上永一短編集「あたしのマブイ見ませんでしたか」の感想と
過去に私が沖縄で撮った写真を載せています。
お楽しみ頂ければ嬉しいです。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
初めて沖縄を訪れてから5年。
私は沖縄の魅力にすっかりとりこになった。
沖縄は本土にはないもので溢れている。
温かい人々の方言や日に焼けた笑顔。
三線をつまびくおじいが座っている昔ながらのマチグワー(市場)。
車を走らせれば両側で揺れる背の高さほどもあるさとうきび畑。
目を奪われる海の青。
町中で聞こえる沖縄の音楽。
町を歩けばシーサーと目が合う。
酒づけにされたハブが私をにらむ。
食文化も独特だ。
やちむんの食器に盛られた
キラキラのネックレスのような美しい海ブドウに
デザートにはサーターアンタギーやちんすこうを頬張る。
海ブドウのパスタ。宝石にも劣らないほどキラキラしたネックレスのような海ブドウがおいしい。(2017.8撮影)
書き出せばきりがない。
でも本当に私が好きなのは、
言葉では言い表せない沖縄を吹き抜ける風や雰囲気だ。
琉球王国や沖縄戦・・・たくさんの過酷な運命をくぐりぬけながら
人々が大切にしてきた伝統や文化、言い伝え。
それが街のそこかしこにひそんでいる。
そんな沖縄の空気を思い出させてくれる一冊に出会った。
デビュー作、バガージマヌパナス わが島のはなし (角川文庫)
以来、
で直木賞候補に、
で山田風太郎賞、
はアニメ化、仲間由紀恵主演でドラマ化されるなど、
注目を浴び続けてきた池上永一が書いた短編集だ。
本作は8編の短編小説がおさめられているが、
そのうち4編の舞台は沖縄、残りの4編が東京だ。
軽妙な文章表現と痛快なユーモアセンス、不思議な世界観は
「バガージマヌパナス」と変わりなく、
最初から最後まで存分に楽しめる。
ショックを受けたりひどく悲しいことがあると
マブイ(=魂)を落としてしまい、
最悪死んでしまうことがあるという沖縄の言い伝えをベースにした
「マブイの行方」。
主人公はマブイを落としてしまい、自分の7つのマブイを探し回る。
あくどい商人のオバアやユタ(=民間霊媒師)、そして島の風景。
道ばたで売られる豚の頭や
「宝石箱をひっくり返したような色とりどりの魚」。
パッションフルーツ味のアイスキャンディー、アロハシャツ、
ペイズリー柄の服・・・沖縄らしさがザクザク登場してうっとりする。
沖縄の風が1ページ目から吹き抜ける。
写真引用元:沖縄の方言名で魚を呼んでみる
「サトウキビの森」は、サトウキビ畑を舞台に
色黒の少女の淡い恋の終わりを
優しく描いている。
未来を予知できる不思議なオバアの登場も面白い。
「失踪する夜」は、御嶽(ウタキ=神を祀る聖所)と
さびれた妖しい歓楽街を舞台にオバアたちが暴れる。
「カジマイ」とは沖縄の常夏の島が寒さに包まれる
たった一週間の冬の時期に来る強風のこと。
寒さに震えあがり、家にこもるオバアのもとに
ひょっこり現れた不思議な少女の精霊の話。
どれも沖縄弁が味があり、
沖縄の風が吹き抜けるような作品ばかりだ。
沖縄の風は、美しくはない。繊細でもない。
とにかく打たれ強く、明るく、
「なんくるないさー」と堂々と笑っている。
踏まれても踏まれても立ち上がる。
踏みにじられても、蔑まれても
起き上がって生きる。
そんな強さがある。
からりとして、たくましい。
そんな沖縄らしさが、私は好きだ。
舞台が東京に移っても、
「おばあ」「占い」「宗教」「花」「闇」という
沖縄を思わせるものがテーマとして扱われている。
早稲田大学に通った頃、
感じたものとは何だったのだろうと想像してみる。
東京のコンクリートジャングル。ビルの摩天楼。
道に溢れる人ごみ。
沖縄を離れたからこそ余計に、出身地の美しさ素晴らしさ、
伝統や言い伝えを懐かしく思い出し、
いろいろなことに結び付けたくなったにちがいない。
人が溢れているけれど、どこかつながりを感じられない都会にあって、
なお作者は「どこにいても人々の声に耳をすませ」、
「土地に潜む記憶や思い、誰かとつながっていこうとする人間の営みを
静かに見つめているのだ」。(解説:与那原 恵 P232、P234)
そんな作者の気持ちがなんとなく、
東京が舞台となったこの4編の短編から窺い知れるような気がした。
作者池上永一さんは作家デビュー前、
漫画家を目指して漫画を描いていたことがある影響もあるのか、
池上作品は、漫画のようなおもしろおかしいキャラクターや
絵が浮かんでくるような文章表現も特徴だ。
読みやすく、つい笑ってしまうような痛快な面白さの中に
切なさや温かさ、人間味が溢れた不思議なストーリー。
ラストは心が温かく、じんと心を打つ珠玉のファンタジー8編。
あなたも、沖縄の風を感じてみませんか?
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