1、コロナ禍の中で気付けた私の街の魅力
すっかり秋らしくなりました。
「食欲の秋」、「芸術の秋」、「読書の秋」、「スポーツの秋」・・・
皆さんはどんな秋をお過ごしですか?
2020年もあと3か月で終わりです。
今年ほど、東京が遠く感じられたことはありませんでした。
距離的には、自宅から電車で30分弱です。
でも・・・連日、ニュースで取り上げられるコロナの報道、
そして緊急事態宣言。
宣言が解除されてからも、感染者の数の増加に、
以前のようにぶらりと東京へ足を運ぶ気にもなれず・・・
でも、良いこともありました。
近場でのおでかけスポットを探す中で、
去年までは気付かなかった埼玉県内の良い場所をたくさん知れたこと。
さいたまへ移り住んで、ちょうど2年が経とうとしています。
今までは、あまりにも見どころが多い東京に目がくらみ
お出かけと言えば東京へ繰り出していました。
でも、遠出ができないコロナ禍の中で、気付きました。
さいたまにも、たくさん良いところがある!^^
今回、ご紹介する埼玉県立近代美術館も、そのひとつです。
埼玉県内にも、こんなに楽しめる美術館があるのだと
とても嬉しい発見をしました。
遠出しにくい今、
自分が住んでいる場所を、より深く知り、好きになれた!
これは、このコロナ禍で得た収穫のひとつです。
埼玉にお住まいでない方は、訪れる機会のない美術館かもしれないので
ブログで取り上げようか迷いましたが
訪れる機会がないからこそ、写真だけでも見て楽しんで頂きたい☆
という気持ちで、この記事を書きました。
一日も早く、心から安心して
どこへでも行きたい所へ行ける時が来ることを願って☆
生まれも育ちも大阪の私がさいたまに住んで気付いたことを書きました。↓↓
生まれも育ちも大阪の私が
東京へ行った際のカルチャーショックを記事にしました。↓↓
☆今回の記事の写真は全てMiyukeyが2020年9月15日に撮影しました。
2、近代美術館の庭園(北浦和公園)
埼玉県の北浦和駅から徒歩5分。
緑に囲まれた公園に到着♪
早速、美しい女の子の像がお出迎えしてくれます。
日本の彫刻界に大きな影響をもたらし、最も人気を博した彫刻家の一人
エミリオ・グレコの作品です。
下から見上げると、迫力があります。
秋の空と、背景の緑。そして流麗なグレコの彫刻のコントラストが美しく
これから出会う美術への期待をひきたててくれるのです。
3、黒川紀章が設計した館舎
建築家、黒川紀章が設計した館舎。
私が最も気に入ったのは、このアングル。
秋の美しい青空が正方形に区切られて、ずらりと並んでいます。
あなたは、あの四角、何に見えますか?
スカーフ?ハンカチ?マウスパッド?
私は空色のお豆腐みたい!と思ってしまいました。
秋の空の豆腐。どんな味がするのだろう。食べてみたい・・・笑
館内にも四角形がたくさん。
その時々の空、射し込む光と芸術作品、それらに出会う人々の空間。
美しい建築デザインがドラマチックに演出してくれます。
4、椅子の美術館
埼玉県立近代美術館は「椅子の美術館」と呼ばれています。
たくさんの名作椅子を所蔵しており、
通常はなんと実際に座ることもできるそう!
でも今は、コロナウイルス感染拡大予防のため
座ることはできません。(2020年9月15日)
それでも、世界中の名作椅子が廊下に並べられているのを見るのは
楽しいものです。
日によって展示されている椅子は異なるそうです。
次はどんな椅子に出会えるのか?ワクワクしますね♪
5、所蔵作品
埼玉県立近代美術館では「常設展」を「MOMASコレクション」と呼んでいます。
現在は第2期(2020年10月18日まで)を開催中。
モネは生涯に渡って、たくさんの積みわらを描きました。
フランスのジヴェルニーの自宅近くの畑で
積みわらが時間、季節、角度によって様々な表情を見せることを発見したモネ。
最も有名なのは1890年から制作した25点の連作「積みわら」ですが
この「ジヴェルニーの積みわら、夕日」は
その先駆けとなった記念碑的な作品だと言われています。
絵画の中に描かれた夕空や積みわらを照らす光を見ていると
そこにあったであろう畑の匂いや静けさ、澄み渡る空気までもが
伝わってくる気がしました。
私が最近気になっている画家、山本容子さんの銅版画も2点ありました。
彼女の描く動物の絵が、温かくてかわいくて、
とても優しい気持ちになれるので、大好き。
これは館内にあるミュージアムショップで買った
山本容子さんのポストカード(上)とファイル(下)。
この絵は、残念ながら展示はありませんでした。
下の真ん中に描かれているロバがとってもかわいい!
見上げている動物たちや花々の顔が希望に満ちています。
画像元:https://www.artpedia.asia/forest/
あたりの空気を一変させてしまうほど
幻想的で神秘的な美しさに溢れた一枚。
この「森」の絵の周りだけが、他とは違う静寂に包まれていました。
南国風の大きな葉に囲まれた天蓋つきのベッドに横たわる裸婦。
木々の向こうから冷たい光を投げかける満月。
闇の中を走る電車。
蠱惑的な夢の中の風景のよう。
夢は人の無意識を映し出すというけれど、
この絵は何を象徴しているのでしょうか。
電車は、走り去ろうとしているのか、それとも向かってこようとしているのか。
一説には、「森」の美女は
ポール・デルヴォーが生涯に渡って愛したタムという女性であるとも言われています。
デルヴォーは愛するタムとの結婚を家族の反対により
一時は諦めますが、
18年後に偶然、運命の再会を果たし、その後、生涯を共にします。
まさに運命で結ばれた二人・・・☆
この「森」という作品は、タムと再会した直後に描かれたものです。
ポール・デルヴォーという画家に強く惹かれ、他の作品も観てみたくなりました。
画像元:
とてつもないオーラと求心力で
私の心を捉えて離さなかった一枚。
しばらく絵の前から動けませんでした。
私が知っている草間彌生さんの作品は、
赤や白、黄色など明るくて鮮やかな原色の水玉が
画いっぱいに描かれているもの。
あまりにも画風が異なるため、
初めは草間さんの作品だと気付きませんでした。
40代の頃は、こんな暗い色調の絵も描いていたんですね。
うまく言葉で表現できませんが、この絵の前にいると
生命の深淵を見つめているかのような、
すこしの恐怖、
冷たさの中にある大地のような温かさ、
広大な宇宙のような奥深さを感じました。
46歳の時に描かれた作品が3点、展示されていますが
どれも同じような色とタッチで描かれています。
世界が認めた「前衛の女王」、草間彌生さんの
現在とはまた異なる一面を発見した気がしました。
5、屋外展示「階段」
実は、今回、最も楽しみにしていたのが、
この屋外展示「階段」でした。
作者は重村三雄。
人体や実物からじかに型どりする「カタメタージュ」の名人の作品です。
屋外展示場に出ると現れる迫力の燻し銀の群像。
おもしろい!
階段を上る人、降りる人。
座りこんで考えこむ人。
都会の街角で、日常的に目にする光景のような気もするのですが
同時に、人の人生をも表しているような気がしました。
人生は山あり谷あり。
上がる人もいれば、下る人もいる。
そして、ふと立ち止まって、自らを見つめ直す人も。
私たちは、一生でどれだけ多くの人と出会うのでしょう。
一瞬すれちがうだけの人もいれば、
生涯を共にする縁がある人もいます。
人は、お互いに影響を与え合って生きている・・・
この群像のさりげない視線の交差が、
いろいろな人々との「出会い」や「縁」といったものを
感じさせました。
像は間近に近づいても、触れても大丈夫です。
一緒に行った母と、ひととき、像といっしょに写真撮影を楽しみました。
7、最後に
この度、初めてその存在を知った美術館。
たくさんの芸術作品に出会え、とても楽しい時を過ごせました。
あなたの住む町には、何がありますか?
この機会に、新しい目で周りを見回せば、
もしかすると、知っているつもりで全く知らなかった
地元の魅力に気づけるかもしれません。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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