Miyukeyの気まぐれブログ

関東在住の30代主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪

"最後の印象派"が描く物語と光「シダネルとマルタン展」

 

 

SOMPO美術館の「シダネルとマルタン展」へ

行ってきました。

シダネルとマルタンは「最後の印象派」と言われる世代の中心的人物でしたが

没後は長らく忘れ去られた存在に。

近年、再評価され、今回、国内初の展覧会だそう。

ともに固い友情で結ばれ、互いに影響を与えあった二人の画家が

紡ぎだす作品の数々。

特に好きだった作品をピックアップしてご紹介します。

 

1、シダネル「モントルイユ=ベレー、朝」

 

 

「モントルイユ=ベレー、朝」 アンリ・ル・シダネル(1896)

 

今回の展覧会で、私が最も好きだった作品。

シダネルの描いた「モントルイユ=ベレー、朝」。

朝もやがたちこめる静かな湖を

花嫁姿の女性がボートに乗って旅立とうとしています。

清々しくも優しい光、朝もやの感触、

ぴりりと冷たい朝の空気や

ボートのゆったりとした音が

絵画の前に立っているだけで伝わってくるようです。

実はこの一枚、モントルイユ=ベレーに嫁いだ妹を

モデルに描いた作品なのだそうです。

妹の幸せを願うシダネルの強い気持ちが溢れるような一枚です。

前方をまっすぐに見る花嫁の姿からは

これからの日々への希望と緊張感が感じられる気がします。

 

シダネルは後年、「ジュルブロワ、花咲く木々」という作品でも

真っ白な花が咲きこぼれる木の下の、白い服を着た妹を描いています。

光が優しく満ちる庭での幸福な時間。

シダネルの愛情に満ちた眼差しが伝わってきます。

この作品は、「モントルイユ=ベレー、朝」の花嫁の、

後の結婚生活の幸せを描いているようで、温かな気持ちになりました。

実はマルタンとシダネルは、ともに、身近な人物を情感を込めて描き

「親密派」とも呼ばれた画家。

二人とも、家族や友人をとても大切にしていたのだろうと思われます。

 

2、シダネル「ジェルブロワ、テラスの食卓」

 

シダネルは1900年以降、人物を描かなくなります。

が、その作品世界からは排他的なものは一切感じられず

むしろ温かく穏やかで、人のやさしさを感じさせるものばかり。

その理由は、シダネルがテーマとした「食卓」にあります。

この時期、シダネルは、自分がこよなく愛した庭とともに

食卓を描きました。

いままで人がそこに座って

食事やティータイムを楽しんでいたことが一目でわかる食卓。

光が満ちている庭園で、笑いさざめきながら、

家族や友達とお喋りし、美味しい食事をともにした

そんな甘やかで優しい幸福な時間。

人物が描かれていないのに、いえ、描かれていないからこそ

そういった情景がありありと目に浮かび、感じ取れるのでしょう。

シダネルは、人物そのものよりも、

愛する人々との幸せな「時間」「空気」を描きたかったのだろうと感じました。

 

 

「ジェルブロワ、テラスの食卓」 アンリ・ル・シダネル (1903年)

 

 

3、マルタン「野原を行く少女」

 

「野原を行く少女」 アンリ・マルタン (1889)

 

こちらはマルタンの作品。

展覧会場に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくる一枚です。

この絵を観た瞬間にマルタンの作品世界に惹きこまれました。

野原を行く少女は、どこか神話の中の女神のようにも見えます。

詩情に溢れた幻想的なこの作品から、物語の始まりのような

ストーリー性を感じました。

 

 

 

 左:「腰掛ける少女」アンリ・マルタン(1904) 右:「二番草」アンリ・マルタン(1910)

 

人物を描かなくなったシダネルとは対象的に、

マルタンは人物を積極的に描き、壁画装飾の分野でも成功を収めました。

庭でくつろぐ妻、祈る少女、うつむく少女など

マルタンが描く人物はどれも、少し影をたたえた神秘的なものでした。

 

そのマルタンが描いた風景画が「マルケロル、テラス」。

 

「マルケロル、テラス」 アンリ・マルタン (1910~1920)

 

靄がかかった遠くの森、静かに降り続く雨の音、

ひんやりとした空気が、伝わってくるような気がしませんか。

マルタンは、雨の日はよくこのテラスからの景色を

描いたといいます。

色を失った雨の景色の中で、赤いゼラニウムが零れ落ちる鮮やかさも

印象的です。

 

4、最後に  ~ 友情、そして物語と光と~

 

私は、マルタンの作品には物語性を強く感じました。

その作品世界から、何か更に深い物語が始まっていくような…。

一方でシダネルの作品には、その場の空気、光や匂いなど

その場所の情景を五感で感じ取れるような作品が多かったように思います。

(注:私は絵画の専門的なことは全くわかりませんので

これは、あくまで、私が感覚的に感じ取った解釈です。)

 

展覧会では、シダネルが自邸の庭にマルタンを招き

ともに散策しながら穏やかに話している映像が流れていました。

キャンバスを並べて、一緒に絵を描いている写真も。

「最後の印象派」と呼ばれ、時代の中心人物として

互いに良きライバル、良き友であり

影響を与えあい励ましあいながら

切磋琢磨した仲だったのではないでしょうか。

シダネルとマルタン

二人の作品世界にどっぷりと漬かりながら、

この作品が日本で、いま、観られることの幸せを感じました。

長い間、忘れられていた二人の画家ですが

これから、また、展覧会で作品が観られるようになれば嬉しいです。

 

会期ギリギリで訪れることができました(SOMPO美術館にて 

2022年6月26日まで!)

 

 

SOMPO美術館では、ゴッホの「ひまわり」を見ることができます。(撮影も可)

ひまわりは平和の象徴と言われているそうで、SOMPO美術館ではウクライナへの寄付活動を行っています。

世界の平和を、戦争のない世界を、心から祈ります。

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

 

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