ウィーンのコールマルクト通り(2018年9月撮影)
新型コロナウィルスが全世界で猛威を振るう中、
ふと頭に浮かんだのが、一年半前、中欧ヨーロッパで見た
ペスト終焉の記念碑や塔。
美しい芸術作品や圧巻の建築物、荘厳な教会、
お洒落なカフェに、かわいいお店など・・・
中欧ヨーロッパの街には目を奪われる魅力的なものが多すぎて、
旅行した当初は、正直、ペスト塔が心に残ったわけではありませんでした。
けれど、コロナウィルスが蔓延し、
たくさんの人々が苦しみ、不安と恐怖を抱える今、
ペストの終焉を記念して建てられた記念碑や塔が
胸に迫って思い出されるのです。
人々が病と闘い、大切な人を亡くして心に傷を負いながらも
終焉を歓び、一歩を踏み出すことを誓って建てたモニュメント、
それがペスト塔です。
私たちは、いつコロナの脅威に打ち勝ち、
終息の日を迎えることができるのでしょうか。
その日が一日も早く訪れることを祈って、
中欧ヨーロッパのペスト塔の写真を中心にご紹介します。
また、このブログを訪れてくださった方々が
少しでも明るい気持ちになっていただけたらという思いをこめて
中欧ヨーロッパの街の写真を一部載せています。
写真は全て、2018年9月に撮影したものです。
なお、コロナとペストの違いと類似点については、下の記事をご覧ください。
コロナが蔓延する現状をペスト流行の時代に重ねあわせる人は多いようです。
下の記事で書きました。宜しければご覧ください。
1、ウィーンのペスト記念柱(三位一体像)
ウィーンのグラーベン通りにひときわ目を引くモニュメントがあります。
それが、ペスト記念柱(三位一体像)。
1679年、ウィーンの街を襲ったペストの終焉を記念して
レオポルト1世によって建てられました。
頂点で輝く金色の部分が、美しく神々しい光を放っています。
観光客が楽しそうに行き交うこの通りを
たくさんの願いと祈り、感謝をこめた柱が見守っているようです。
ペスト記念柱からほど近いところに、二つの教会があります。
それが、ペーター教会とシュテファン寺院。
どちらも長い歴史を、街の人々とともに歩んできた教会です。
ペストが街を襲ったときも、きっと人々は、この教会で祈りを捧げたのでしょう。
幸いにも、ミサが行われているときに訪れることができました。
一心に祈る人々の後ろ姿と静寂、祈りの空気が満ち溢れる空間・・・
いつの時代も、どこの国でも、人々の想いは同じなのだと感じました。
12世紀からこの街を見守り続け、人々に愛されてきたモザイク屋根のシュテファン寺院。
ペーター教会は、9世紀に創設されたウィーンで2番目に古い教会です。
シュテファン寺院に比べると、すこし小さめで、道の奥まったところにあります。
祭壇の彫刻は、バロック芸術の極致といわれるほどの名作とされています。
教会内部は、ろうそくの灯りに照らされて、光り輝いていました。
街の人々が頭を垂れて祈る姿に心打たれました。
2、ブダペストの三位一体の像
古くから「ドナウの真珠」と讃えられるのもうなづける、
素晴らしく美しい街です。
この街でも、その昔、ペストが人々を襲いました。
三位一体の像は、18世紀にペスト終焉の記念に建てられたものです。
三位一体の像は、ブダペストを象徴する教会、
マーチャーシュ教会の前に建てられています。
マーチャーシュ教会は
オーストリア・ハンガリー帝国の皇帝フランツ・ヨーゼフと
700年という長い歴史の中で、激動の時代を見守り続け、
「ハンガリー人の心の拠り所」と言われたこの教会の前に
三位一体の像が建てられたことは、とても深い意味があるように思います。
3、センテンドレのペスト記念塔
カラフルでかわいい建物がズラリと並んでいる心ときめく町です。
家族経営をしているような小さなお店が建ち並んでいて、
雑貨好きの私はワクワクが止まりませんでした。
お買いものをしながら道を歩いていると、15分ほどで
メイン広場に到着します。
その真ん中には、ペスト記念塔が。
ウィーンやブダペスでト見たものより、かなり小さ目で、
どこか手作り感のある心温まる塔でした。
私が訪れたときは、カラフルな飾り(絵馬のようなもの)が柵のところに
すずなりに吊るしてありました。
なんとなく撮ってはいけないものなのかな?と思ったので
写真には写っていません。
ちいさなかわいい町に佇む、心のこもったペスト記念塔。
これは、1763年にペスト終焉の記念に建てられたものだそうです。
緑の木々に囲まれて、町を見守っているように佇んでいる姿が
印象に残っています。
ペスト記念塔のあるメイン広場は、
アコーディオン弾きのおじさんが演奏をしていたり
かわいいカフェがあったりと、人々が思い思いに楽しんでいる
素敵な一角でした。
4、最後に
その昔、たくさんの人の命を奪い、苦しみを与えたペスト。
病と苦難に打ち勝った人々が建てたペストの記念碑は、
今の私たちに、力を与えてくれる気がします。
いま、世界中の人々が再び病の感染と闘わなくてはならない局面に
立たされています。
たくさんの感動を与えてくれた中欧ヨーロッパも、
日本と同じような状況に追い込まれているというニュースに
心が痛みます。
一日も早く、終息の日が訪れ、
また自由にどこへでも行きたい所へ行きたい時に
安心して行ける自由が訪れることを心から祈るばかりです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。