Miyukeyの気まぐれブログ

愛媛県在住のアラフォー主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪現在は、仕事繁忙期のため月に2回の更新となっていますが、よろしくお願いいたします☆

人生に寄り添うことば・相田みつを (相田みつを美術館)

 

このポストカードは、私の実家のベッドの横、

朝、起きたらすぐに目に入る場所に貼ってあります。

大学生のときに買いました。

大学を卒業して社会に出るとき、

日本語教師を目指して頑張っているとき、

そして、結婚するとき。

転機を迎える朝、いろいろな気持ちで、

この言葉を見ました。

うまくいった日も、いかなかった日もありました。

でも、いつもこの言葉は、優しく私の背中を押してくれていたように

思います。

たったひとつの言葉が、自分の人生に、ずっと寄り添ってくれる・・・

そういうことはあるのだと思っています。

 

 

新しい地での生活が決まったこのタイミングで

東京の相田みつを美術館を訪れることができたのも、

ひとつの「出逢いのタイミング」だと思います。

素晴らしい言葉たちに出会いました。

 

 

 

「早く亡くなられましたね、と父の死を惜しむ人たちから

よく言われます。

でも、ずっと父の仕事を見ていた私は、そうは思いません。

むしろ、よくこの年まで生きてくれた、と思います。

魂を燃やすように、身体を削るようにして書に没頭していた父でしたから・・・」

相田みつをさんの息子さん:相田一人さんの言葉です。

今から20年近くも前、「ゆのくに天祥」というホテルの

相田みつを美術館で読んだ、この言葉が胸に突き刺さって

ずっと残っていました。

相田みつをさんの書に初めて本当の意味で出会ったのは、そのときだったと思います。

 

 

まず、原稿用紙と向き合い、

推敲に推敲を重ねて

言葉を決めるそうです。

考え抜かれ、削ぎ落とされたことば。

言葉が出来上がって、やっと筆を持つのです。

30畳ほどもあるアトリエが埋め尽くされるほどに

何百、何千と同じ言葉を書き、

本当に気に入った一枚だけを残して、あとは焼いてしまう・・・

だから、手元に残る作品は、いつも一枚きりなのだそうです。

 

 

 

真っ白な骨になるまで燃えつきたい、

そんなことを自身の結婚式の新郎スピーチで語った

相田みつをさん。

おめでたい席にはそぐわない言葉に、列席者はみんな

度胆を抜いたのだとか。

でも、それは縁起の悪い言葉でもなんでもなく、

新しい門出に立ち、これからの人生を見据えて

ぜひとも宣言しておきたかった生き方の表明だったのでしょう。

その言葉どおりに相田みつをさんは生きたのだと思います。

常に自我と向き合い、魂を燃やし、人生をかけて

生み出した相田みつをの書は、いまもなお、私たちの心の底に

深く響きます。

 

 

優しいけれど、強い。

人間の弱さを知っているからこそ、その書は私たちの心に

寄り添い、背中を押し、人生の様々な場面でわたしたちに

気付きを与えてくれるのですね。

 

 

相田みつをさんは多感な少年時代に二人の兄を戦争で亡くしています。

何度も兄の名を呼んでいた母、

一度も兄の話を口にすることもなく黙々と酒をあおっていたという父の背中から

愛する人がこの世にいなくなる喪失感と、

いのちの重さ、はかなさを感じたことでしょう。

相田みつをさんが

「いのち」というものについて生涯向きあったのは

この二人の兄の死と、その後の両親の姿が大きく影響しています。

 

相田みつを ひとり語り〈第1集〉いまここ (ダイヤモンドCDミックス)

いまから ここから

 

「いま、ここ」

「いまから、ここから」

 

相田みつをさんの書く「いま」という字には

強さと気迫があります。それと同時に、肩の力を抜いた自由さも感じるのです。

強く生きることは、肩に力を入れて生きることじゃない。

人と比べず自分らしく、柔軟に愛を持っていきること。

相田みつをさんの、たったひとことの書から伝わってくるメッセージです。

 

 

大学生のときに見た書と同じものもありましたが

感じたことは、また違っていました。

人生のそれぞれの地点、そのときの気持ちによって

受け取るものは異なるのだなと思いました。

そして、それと同時に感じたのは、人生において大切なものは

とてもシンプルなのだということ。

生きていくうえでの真実というものは、

飾りを全て取り去り、

削ぎ落とされて残った、ただひとつのものであるということ。

相田みつをさんが「真っ白な骨になるまで」魂を燃やし

人生をかけて残した書の数々は、そんなことを教えてくれました。

 

 

渋谷の東京国際フォーラムにある相田みつを美術館は

相田みつをが辿った道を知り、じっくりと作品に向き合える

素晴らしい空間でした。

現在は、「人生の的」という展覧会を開催中です。

 

 


相田みつをが生前、好んで散歩していた群馬県八幡市の道をイメージした館内。

 

 

群馬県八幡市に生れ、そこにアトリエを構えて

自らと向き合い続けた詩人・書家:相田みつを

生誕100年も間近ですが、そのことばはいまも、

そしてこれからも、わたしたちに

人間としての真の生き方を諭してくれるものであると

感じています。

 

いくつになっても木の芽のように、柔らかく柔軟な心でいたいですね。

そして、伸びていきたい、あの太陽の光に向かって

 

ふと見上げた夕焼け、きのうまでツボミだった花、鳥の鳴き声、

葉っぱについた朝露。

ほんの小さな美しさにも気づける、そして感動できる「美しい心」を

持って生きたいです。

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

<過去記事紹介>

 

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