暑い毎日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?
今回は
ほんのひととき、日常を忘れさせてくれる涼やかなカフェ「楽風(らふ)」(さいたま市)と
2階のギャラリーで開催中の写真展「オオカミは大神」展(青柳健二展)について
ご紹介いたします。
1、古民家カフェ「楽風」へ
京浜東北線「浦和」駅下車、
駅前の喧騒が嘘のようなディープで静かな街並みを7分ほど歩くと・・・
そこにカフェ「楽風」があります。
カフェ「楽風」を訪れるのは、初めてのこと。
うっそうと木々が茂り、子供の遊び道具が放り出された庭を見て、
本当に入って大丈夫?私有地じゃないの?と
心配になった私。
おそるおそる庭を進んでいくと、古民家が現れました。
早速、中に入ってみると・・・
穏やかな時が流れる素敵なカフェでした。
慌ただしい日常と都会の喧騒から離れ
ここでは時間がゆっくりと流れていく気がします。
明治24年の建造物。
納屋としても、また、お茶づくりの作業場としても使用されていた建物を
いまはカフェ、ギャラリーとして利用し、
地元の人々に愛されています。
風が吹く度、風鈴がちりんと涼しい音を鳴らし
のれんが揺れます。
落ち着く空間・・・☆
大きな木製の丸テーブルに座ると、
こだわりぬいて選ばれたのがわかる素敵な飾り物が並んでいます。
お店の片隅には、こけしがずらり。
その傍らには、こけしの本も。
どれも売り物です。
置かれていた本は、こちら↓↓
「こけし」と一言で言っても、種類も歴史も様々。
職人さんが、「こけし」という工芸作品にこめた思いの深さ、
人々がこけしを愛してきた歴史に思いを馳せていると、、、
お抹茶とお菓子が運ばれてきました☆
お菓子のセットは日替わりで、和菓子か洋菓子かを選べます。
「楽風」の日本茶は、江戸末期創業の日本茶店「青山茶舗」のもの。
冷抹茶の冷たさ、深い味わいが体のすみずみまで沁みわたる!
甘さ控えめなチーズケーキは、抹茶と、とてもよく合います。
日本茶を飲みながら、ゆったりと読書をするお客さんや
古民家の雰囲気を味わいに来た二人連れの外国人女性たち。
カフェの中は広々としていて、とても静か、コロナ対策もなされているので
安心して思い思いの時間を楽しむことができます。
明治期の納屋を改造した古民家で
ゆったりとした時を感じながら、こだわりの抹茶を味わう・・・
贅沢なひとときを過ごしました。
2、 2階のギャラリーで狼像に出会う
2階は、ギャラリーになっており、様々な展覧会、個展が開かれています。
現在は「オオカミは大神」展を開催中(2021年7月15日~8月10日まで)。
狭い階段を上っていくと・・・
そこには不思議な世界が。
ひっそりと静まり返った薄暗い廊下にずらりと並ぶ写真。
古民家ならではの、長い長い時の重なりを感じます。
緑が揺れる小さな正方形の窓と、狼像の写真が、
絶妙な組み合わせ。
神聖な空間を作り出しています。
差し込む光、床のきしむ音、古びた柱や壁。
それらと、そこに飾られている作品との組み合わせ。
作品が存在するこの空間、
それ自体が「芸術作品」なのだと感じました。
3、「オオカミは大神展」はコロナ退散祈願の写真展
写真家、青柳健二さんは全国各地の狼信仰にまつわる神社を参拝し
狼像の写真を撮り続けてきたそうです。
全国には狛犬の代わりに狼像が祀られている神社は
多いのだとか。
西洋では家畜を食べる存在として人間の敵とみなされているオオカミ。
牧畜が発達しなかった日本では、(東北の一部の地域を除き)
田畑を荒らす猪や鹿などを追い払う益獣とされてきました。
その一方で、山の中で出くわすと人間が襲われることから
人間たちは畏怖の念を抱くようになり
神としてあがめるようになったという背景があります。
ニホンオオカミは明治38年に絶滅したとされますが
オオカミは「大神」として、いまも全国に祀られているのです。
江戸時代、コレラが流行した際には
その謎の病を人々は「狐狼狸(コロリ)」と呼び、
異国の魔物の仕業だと恐れました。
日本で最強の存在である狼に退治してもらおうと、
狼信仰の神社、三峯神社(埼玉県 秩父)に人々が殺到したそうです。
古くから流行り病、精神病に対する霊験あらたかだとされており
参拝者が急増したそうです。
これらのことを踏まえ、今回の写真展では
疫病除けにご利益があるといわれた狼像の写真40点を
コロナ退散祈願の想いをこめて紹介したとのこと。
(参考:展示会場のパネル)
更に詳しくは、こちらの本に載っています。↓↓
私は狼信仰というものを、今まで知りませんでした。
今回、数多くの狼像を写真で見る機会を得、
古くから根付いてきたオオカミ(=大神)と日本人の信仰の歴史に
深く興味を持ちました。
様々な姿、表情をした狼像、
どこか可愛らしく、それでいて威厳を併せ持った像の数々に、
絶滅したオオカミに対する人々の深い畏敬の念と神秘を感じました。
疫病が蔓延した時代の人々は、
いまの私たちと同じように戸惑い、恐れ、不安を感じたことでしょう。
この写真展は、そんな彼らの心の拠り所となった大神たちの存在を
近く感じられる神聖な空間でした。
いままで私が狛犬だったりキツネだと思って通り過ぎていた像の中にも
狼像があったかもしれません。
次からは、しっかり姿や顔を見てみたいと思いました。
机の上にあったお札。
埼玉も、今日から緊急事態宣言・・・
コロナ退散を、写真の中の狼像に祈ってきました。
3、最後に
手仕事や芸術作品など、
丁寧に思いをこめて作られたモノをヒトとを繋ぐ、
カフェとギャラリーを併設した「楽風」。
明治時代の納屋を活用した古民家に流れる時間はゆるやかで、
その中で出会う「想い」も格別です。
日常の慌ただしさから逃れ、のんびり過ごす時に訪れたい
隠れ家のような場所です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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