Miyukeyの気まぐれブログ

愛媛県在住のアラフォー主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪現在は、仕事繁忙期のため月に2回の更新となっていますが、よろしくお願いいたします☆

家の記憶

家に帰ったら、誰もいなくても「ただいま」と言ったほうがいいと

どこかで読んで、最近、そうしている。

実家にいた頃は、常に誰かが迎えてくれたけれど、

今は夫が帰るまで、私ひとり。

ガランとした家に向かって「ただいま」と言うとき

私は誰に挨拶しているんだろうと思う。

もしかして、家に、かな・・・?

 

 

もし家というものに記憶があったなら

そして、もし話せたなら、面白いだろうと思う。

まずは自分の実家の家と話してみたい。

私が赤ん坊のときから、ずっとずっと見守ってくれていた家。

「大きくなったもんだねえ、ついこの間、

あそこの門からママに抱かれて入って来たと思ったのにね」

祖母が目を細めながらそう言う度、

私は庭の門を振り返る。

生まれたばかりの私を迎えた門は

成長していく私を、どんなふうに見ていたのかな。

もし家と話せたなら、祖母や母が若かったときのこと

私が生まれる前に亡くなって一度も会えなかった

祖父のことも聞いてみたい。

この家を建てた祖父のことを、家はどう話すかな?

私が母や祖母から聞いている通り、立派な人だったのか、それとも・・・?

 

 

 

吉本ばななさんのエッセイ下北沢について (幻冬舎文庫には

ばななさんが暮らした『家』がたくさん出てくる。

かけがえのない思い出が詰まった家から引っ越すとき

「家が私を引き止めている」のを

ひしひしと感じながら、床をふいたこと。

家族で一生住むには小さすぎたけど

「いつも優しく、甘く、明るい空気が流れていた」仮住まいの家と、

「どこかしらにガチンコ勝負な雰囲気みたいな厳しい面」があり

「なじんでいくまでに時間がかかりそうだが、その分、とても誠実な家」だという

現在の家。

ばななさんならではの感性で受け取った、家の『性格』が

家族やご近所さんとの思い出とともに描かれていて、

思わず笑顔になれる。

 

「家」で思い出すのは芥川賞受賞作品でもある

古川真人の背高泡立草 (集英社文芸単行本)

家の歴史、記憶をたどることで、家族の繋がりや時の流れ、島の移り変わりを描き

血縁とは何か、を考えさせられる。

 

(2016年10月 スペインのパラドール・デ・グラナダの窓からの景色

   Photo by Miyukey) 

 

家だけじゃなく、お城や邸宅、ビルとも話せたらいいのにな、と

思うこともある。

大阪城や姫路城の話は、歴史に疎い私には難しすぎるかも。

それでも、歴史の本や教科書に載っていることじゃなく

実際に見てきた歴史上の人物の話を、お城が語りだしたら、

どんなに楽しいだろう。

スペインのアルハンブラ宮殿内にある

パラドール・デ・グラナダに泊まった時、

そう思った。

宮殿の一部、貴族の邸宅、修道院

そしてホテルと、様々な用途で使用されてきたそのパラドールには

気が遠くなるような歴史が刻まれている。

カスティーリャ王妃:イザベル一世の希望通り、

彼女の遺体が一時期、埋葬されていた場所でもある。

清らかで気品に満ちたこの建物がもし話せたなら、

どんな物語を聞かせてくれるのだろう。

 

(2016年10月 スペインのパラドール・デ・グラナダの階段

       Photo by Miyukey) 

 

そう考えると、私が今、住んでいる部屋が語ることは

取るに足らない雑談だろうなあ。

どこにでもいるアラフォー夫婦の住む

とある賃貸マンションの一室。

それでも、どんな平凡な無名の家族にだって

悲喜こもごもあって、それぞれの人生のストーリーがある。

この部屋が喋れたなら

私たちの前に住んだ人たちの暮らしのストーリーも

聞いてみたい。

私はズボラ主婦だから、

「もっときれいに暮らしてよー」とか「乱暴に扱わないで!」なんて

説教や愚痴をきかされるかもしれない。

あなたは、どの家の、どんなストーリーを聞きたいですか?

 

どんな家にも語るべき物語があるのだろう、きっと

 

長田弘さんの私の好きな孤独 (潮文庫)という

エッセイ集に、賃貸マンションについてのこんな文がある。

部屋を借りているのだが、ほんとうは部屋を借りているのではない。

部屋を借りる仕方で、借りているのは自分の人生だ。

長距離の寝台列車のような、途中の暮らしだ。

わずかな荷物をまとめて人生を乗りかえるまでの、とりあえずの時間。

「窓」より抜粋)

 

私たちもいつかは、この部屋を去る。

転勤族の私たち夫婦は、いつ、どこへ行くのかわからない。

でも、それまで、この「長距離の寝台列車」の私たちの空間を

幸せで楽しい空気で満ちたものにしたいと思う。

人生の寝台列車の時間は辛い時も、良い時もあるけれど、

それを見守ってくれているこの部屋の記憶の

ほんの片隅にいる私たちが、

笑顔であったらいいと思う。

 

なんでもない一日も、大切に笑顔で生きられたらいいな。

 

今回は心境の変化により、このような記事になりました。

次回からは、またいつもの文体・内容に戻ると思います。

たぶん。

「気まぐれブログ」なので、いろいろ書きますが、

温かい目で、よろしくお付き合いください^^

今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

☆今回の記事で使用した写真は、フリー素材Pixabayのものです。(スペインの写真を除く)

 

<今回ご紹介した本の過去記事>

 

miyukey.hatenablog.com

 

miyukey.hatenablog.com

 

<今回ご紹介した本>

 

 

 

 

 

 

今週のお題「本棚の中身」

 

 

 

Xserverドメイン

お名前.com