
たくさんのレプリカを見るよりも
一点でも、本物を観たい。
大塚国際美術館へ誘われる度に、そう思って、断っていました。
世界中の名画を原寸大に再現した陶板画を1000点以上展示した美術館。
その規模と展示内容の豊かさから
「全国で行きたい人気の美術館」の常に上位を占める、
話題と注目を集める美術館でもあります。
が、複製画を観ることに、長い間、価値を見出せなかったのです。
今回、母に誘われたときも、断りかけたのですが・・・
「確かに、大塚国際美術館のクチコミを見ていたら、いろんな意見があるわ。
ホンモノとは全然ちがって感動しなかったとか、
美術が好きな友人には恥ずかしくて言えないとか、
実物には敵わない、とか。
でも、そんなん言うこと自体がおかしいと思うわ。
陶板画を観に行ってるのに、原画と比べて、どうとか。
陶板画は、陶板画やん」
母のその言葉をきいて、初めて心が揺らぎました。
そうだ、陶板画を原画と比べること自体が、ナンセンスなのかもしれない。
陶板画は「陶板画というホンモノ」であって
「偽物」ではない。
けれど、その意味を本当に理解したのは、
実際に美術館を訪れてからのことでした。
なぜ、徳島の地に、世界中の名画を集めた巨大な美術館があるのか。
なんのために、どうして陶板で再現してあるのか。
むくむくと湧いてきた疑問と関心・・・!!!
あれよあれよという間に、徳島旅行の日程が決まったのです。

大塚国際美術館に入館してすぐのところにあるシスティーナ・ホール!
圧巻です・・・☆
☆目次☆
1,ここでしか見られない名画のかたち
2,再会。そして新しい夢
3,原画とは比べられない!もうひとつの「本物」という答え
1、ここでしか見られない名画のかたち
「よお、つくったなぁーーーー!!!」
この美術館を観て、誰もが思うことは、この一言だと思います。
歩けども歩けども、名画、名画、名画・・・!!!
5階建て、約1万坪の敷地に建てられた美術館の中に並べられた絵画は、
選定委員が世界中から選び抜いた名画の数々。
美術の教科書で観て、いつか写真ではなく間近に観たいと思っていたもの。
いつかまた再びこの絵の前に立ちたいと思いながら
遠い国にあって、なかなか再会が叶わずにいたもの・・・





美のオンパレードで、クラクラしそう!!
この絵画の一点一点が
許諾権の取得、現地での調査、陶板転写、焼成、額縁の注文・・・と、
気の遠くなるような過程を経ているのです。
本当に、よくこんなものを作ったものだと感嘆します。
古代遺跡や礼拝堂などの壁画を、空間ごとそのままに再現した環境展示には、
圧倒されるばかり・・・☆

イタリアのスクロヴェーニ礼拝堂を再現。
静まり返った内部には、聖歌が流れ、ほのかにユリの花の香りが。
神聖な空気を感じながら腰を下ろして、
ジョットが描いた壁画を堪能します。


キリストや聖母の生涯を描いた壁画。
一枚一枚の絵に惹きこまれます。



フランスの聖マルタン聖堂。
荒廃して剥がれ落ちた部分まで忠実に再現されています。


聖ニコラオス・オルファノス聖堂(左)とポンペイの豪邸の一室「秘儀の間」(右)


私が最も感動したシスティーナ・ホールの詳細は後ほど!
陶板画の耐久性は、約2000年。
原画が色褪せ、修復によって元の色彩と異なったものとなってしまったとしても、
建築物が風化して、その姿を変えてしまったとしても
陶板画は描かれた当時のまま、後世に残っていくのです。
戦争や火災、略奪や破壊など・・・
絵画の運命は、人間と同様、さまざまです。
中には、もうこの世には存在しない絵画もあります。
そんな幻の作品に出会えるのも、陶板画ならでは。

エル・グレコの祭壇衝立。
ナポレオン戦争によって破壊され、散逸してしまった祭壇を
調査に基づいて推定復元したものです。


「自然光のもとで作品を観てほしい」と願ったモネ。
雨にも風にも強い陶板画だからこそ実現した屋外の展示。
この展示を観たなら、モネはどう言うんだろう。

刻々と変わっていく日の光の中で見るモネ。
これが、モネが本当に見せたかった作品の表情なのかも。


ここに直結しているカフェ・ド・ジヴェルニーにて
ジェラールの「アモルとプシュケ」をイメージしたスイーツを。
天使の羽根がとってもかわいい♡



ジェラールの「アモルとプシュケ」(左)をイメージしたスイーツ。ビターチョコとブルーベリーソース、ティラミスの層になったもの。おいしい~☆
ゴッホのひまわりは、一室に7点まとめて展示されています。
人が絶えない超人気の展示室。さすがゴッホ!


左は空襲で焼失し、もうこの世には存在しないゴッホのひまわり。
綿密に調査が行われ、忠実に復元されています。
世界各国に散らばっている名画が一同に・・・!
美術が好きな方なら、夢のような空間☆


2、再会、そして新たな夢

大塚国際美術館の見どころのひとつは、環境展示。
入ってすぐのシスティーナ・ホールは、ただただ圧巻。




20年以上前、イタリアのシスティーナ礼拝堂へ行ったのですが
この礼拝堂の記憶が全くない!!!のです・・・
礼拝堂へたどり着くまでにも、素晴らしい美術がたくさんあり、
それを夢中で見ている間に疲れ果ててしまい、
肝心の礼拝堂では、椅子に座り込んでぼーっとしていた記憶が・・・
トホホな体験ですね。
こんな素晴らしいものを、10代のときに目にしていたとは~!!!
「パリへの逃避行」という映画を観て以来、
ずっと間近で見たいと思っていた「貴婦人と一角獣」のタペストリー。
6枚あるうちの1枚「わが唯一の望みの」が
大塚国際美術館の陶板画になっています。
コロナ禍以降、海外旅行へ行く足も遠のいてしまい
いつか観られることがあるのかしら??と思っていたものだったから、
喜びもひとしお!

感動!!感激!!その美しさ、清らかさ、細部のかわいらしさに
ずーーっとそこに座っていたい気がしました。



隅に描かれた動物たち。これだけでも、一枚の絵画になりそう☆
スペインの「国立ソフィア王妃芸術センター」で観たピカソの「ゲルニカ」。
あのときの感動が、よみがえりました。
ピカソが、巨大なキャンバスいっぱいに描いた平和への祈り。
たくさんの警備員たちと観客がいるにもかかわらず、
水を打ったような静寂が漂い、厳粛な空気が流れていた、
マドリードの、あの空間。

徳島の地で再会できて、思わずテンションマックス!!
なぜかこのフロアは貸し切りのように人がいなくて、
誰に気兼ねすることもなく、はしゃげるし、
写真も撮れるし、触ってもいいし、やりたい放題☆
注)ただし、ルールは必ず守りましょう^^
クリムトの「接吻」。

もう8年前になりますが、ウィーンのベルヴェデーレ宮殿で
開館前の、わたしたちツアー客数名しかいない空間で
この絵画を鑑賞することができました。
静まり返った館内で、
神々しいほどの光を放っていた「接吻」の絵を忘れることができません。
金の光沢、小さく描かれた渦巻のひとつひとつ、
恍惚とした恋人たちの表情の美しさに感動したあの気持ち・・・
絵画の力って本当にすごい。
陶板画の前に立って、あの時の思い出が一気に蘇りました。
新たな絵画との出会いも。
名だたる名画の中で、はっと目に飛び込んできたのが
サージェントの「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」。
「え~!こんな有名な絵を知らなかったの~!?」
と家族に驚かれたのですが、初めて観たんです!

夕暮れの中に浮かび上がる白い百合と
日本風のちょうちんを持った少女たちの姿。
どこかちょっと切なくて、ただただ美しい一瞬の記憶を閉じこめたような・・・
原画はロンドンのテート・ブリテンにあるそうです。
いつか、原画の前に立ってみたい!
新しい夢ができました^^
3、原画とは比べられない!
もうひとつの「ホンモノ」という答え
大塚国際美術館は、
陶板というものの可能性に賭けた、次世代の芸術への挑戦だと感じました。
もちろん、原画の素晴らしさは、いわずもがなです。
でも、母が美術館を訪れる前に言った通り、
これは原画と比べるべきものではないのです。
美術館それ自体が、「新しい芸術」として存在しているのだと思います。
徳島の地を、誰もが仰天するような圧倒的な美術館で活性化させようという
創設者の想い、
気の遠くなるような工程を経て莫大な費用をつぎ込み、
たくさんの人々が知恵と情熱を注ぎ込んだこの美術館は
原画とはまた全く異なるストーリーを持つ意義深いものであると思いました。
広大な面積の美術館を回った二日間。
二日間たっぷりかけても、まだ見足りない!!
こんな壮大なプロジェクトを発案し、
美の可能性を追求し、芸術に挑んだ人々の想いに
心が大きく揺さぶられました。
また、人類は、この地球という星の上で、
なんという多くの素晴らしいものを作り出し、表現してきたのか。
世界中の名画が一堂に集められた空間で
芸術というものの偉大さに改めて胸を打たれます。
「本物しか見たくない」「陶板画はレプリカだから」と
ずっと今までこの美術館を訪れる機会を逃してきた私は
もったいないことをしたなぁと思うし、
今回訪れることができて、本当によかったです。
母よ、ありがとう!!>▽<

最後までお読みいだだき、ありがとうございました!
<大塚国際美術館を訪れる予定がある方へ♪>
大塚国際美術館を訪れる予定がある方に、
ぜひともおすすめしたい本があります。
作家:玉岡かおるさんの著書「われ去りしとも美は朽ちず」
大塚国際美術館ができるまでの壮大なストーリーを描いた小説。
創設者の情熱や
美術館設立に関わった人々の想い、
どれだけ壮大なプロジェクトであったか・・・
小説はフィクションですが、
読んでから行くと、美術館の絵画を鑑賞するときの感動が違います。
我が家では、皆で回し読みしました^^
美術館はフロアが5つあり、広大な面積なので
事前に、自分が観たい絵画の目星をつけていくと便利です。
2026年3月に新しいガイドブックが出版されました。
歩きやすい靴を履いてお出かけください☆^^
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