いよいよ8月も終わりですね。
まだまだ暑い日が続いていますが、
真っ青だった夏空は高くなり、
眩しい光は少し優しくなって
ほんの少し秋を感じることが多くなってきたように思います。
短く楽しい夏を振り返り、
横浜へお出かけした思い出を綴りたいと思います。
コロナ禍になってから、
ほとんど県外に出て遊ぶということをしませんでした。
久々の横浜!!
今回は、いろいろな場所を回った中で、
ご紹介したいと思います☆
☆写真は全て2020年8月8日にMiyukeyが撮影したものです。
1、イングリッシュローズの庭
大佛次郎記念館の入り口近くは
「イングリッシュローズの庭」と呼ばれる美しい公園。
噴水があったり、小道があったり。
まるで絵本の中に迷い込んだような素敵な空間。
暑くなければ、ずっと散策していたいほど美しい庭園です。
薔薇と言えば春と秋だと思っていましたが、
こんな暑い焼けつくような日差しの中でも
涼やかに咲き香っている薔薇の花がたくさんあることに
驚きました。
薔薇の他にも、いろいろなお花が。
見ているだけで華やかな気持ちになれます。
それにしても、人が少ない!!・・・というか、誰もいない!
暑いから?それともコロナ禍の影響でしょうか。
静まり返った庭園散策は楽しかったのですが
少し淋しい気がしました。
涼しくなったら再訪したい庭園です。
薔薇の季節には、薔薇の香りが降ってくるように作られたアーチも
満開になるそうです!
機会がありましたら、ぜひ訪れてみてくださいね☆
2、ティールーム「霧笛」
今回の目的地のひとつ、ティールーム「霧笛」に到着!!
大佛次郎(おさらぎ・じろう)記念館の隣にあります。
大佛 次郞(おさらぎ じろう、1897年(明治30年)10月9日 - 1973年(昭和48年)4月30日)は、日本の小説家・作家。神奈川県出身。『鞍馬天狗』シリーズなど大衆文学の作者として有名な他、歴史小説、現代小説、ノンフィクション、新作歌舞伎[注釈 1]や童話などまでを幅広く手がけた。 猫を生涯の伴侶と言うほど、大の猫好きだった。猫を題材とした多くのエッセイや、小説、童話を残している。
文章抜粋:
大佛次郎の小説「霧笛」から、
大佛夫人が命名したというこのカフェ。
生涯、猫を愛してやまなかった大佛にちなんで、
このカフェには猫の置物がいっぱい!!
入口から、かわいい猫の銅像が迎えてくれます。
猫好きな私はテンションが上がりまくりです。
ここも貸切状態なので、窓際席に。
涼やかな緑を眺めながらユックリ・・・至福の時間です。
主人は「大佛フラッペ」というかき氷を注文しました。
64歳で自らフランスに渡り、パリ・コミューン関係の資料を収集し
フランスの歴史ノンフィクション「パリ燃ゆ」を書き上げた大佛次郎。
それにちなんで作られたかき氷は、
かわいらしいシロップでトリコロールになっています。
少し味見しましたが、とってもあっさりしていて、美味しい!!
甘すぎない大人のかき氷。
「大佛フラッペ」という名にふさわしい一品です。
私は、こちらのカフェの定番メニュー、チーズケーキセットにしました☆
大佛次郎の奥様のレシピを忠実に再現したケーキ。
ここに来る前から楽しみにしていました☆
フランス製の陶器「ジアン」の美しい食器と
シンプルなチーズケーキの調和も素敵♪
写真ではわかりづらいですが、
アイスティーのグラスに挿してあるお花型のマドラーも可愛かったです☆^^
チーズケーキのお味は・・・
とても濃厚で一口一口、チーズのお味が口いっぱいに広がります。
大佛次郎と奥様は、猫をひざにのせながら
このケーキを仲良く食べたのかしら・・・。
猫を子供のように可愛がり、一緒にスポーツを楽しんで
仲睦まじく年を重ねていかれた大佛ご夫妻。
同じものを愛し、手に手を取って日々を過ごすお二人の姿が
見えるようでした。
次はいよいよ隣接している「大佛次郎記念館」へ向かいます。
3、大佛次郎記念館
中に入るとすぐに見えるのが
美しいブルーのドーム型の窓。
展示物は大人気を博した時代小説「鞍馬天狗」をはじめ
数々の代表作、
横浜と鎌倉そして猫をこよなく愛し
ホテル「ニュー・グランド」に仕事場を置いた私生活などなど
大佛次郎の輝かしい業績と、
小さな命への優しいまなざしを大切に生きた日々が
感じられる記念館です。
直筆の創作ノートや旅先からのポストカードなどの展示も
興味深かったのですが、
ショーケースの中の展示は撮影禁止なのが残念です。
私はいつも、どこかを訪れる前には必ず
その舞台となった小説なり映画なりを観てから出かけるのですが
今回はコロナの影響もあり、ぎりぎりまで横浜行きを迷っていたこともあって
大佛次郎を全く知らずに行きました。
作品も読んでいません。
もし読んでいたら、もっと奥深く理解し、さらに感動できたのでしょうが
全く知らなくても、十分、楽しめましたし、
大佛次郎という一人の人間としての魅力にとても惹かれました。
大佛次郎が生涯に飼った猫の数は、
なんと500匹!
「私の趣味は本とネコ」、「ネコは生涯の伴侶」
「次の世には私は猫に生まれて来るだろう」
「本と猫とを、僕の棺に入れるように」
という言葉からもわかるように、猫への愛情はとどまることを知りませんでした。
当然、小説の中には猫がたくさん登場し
猫を題材にしたエッセイも多く
猫が主人公の「スイッチョねこ」という童話は
自身のお気に入りの一作だといいます。
大佛次郎記念館には忠実に再現された大佛次郎の書斎があります。
ほんとうを云うと、物を書く部屋には、余計なものを何も置かず
空白な机一つがあればいいのだと思う。
しかし、二十年にわたった習癖と云うものは、なかなか脱け出られない。
私には、やはり、仕事をするのに猫と本とが手もとにないといけないらしい。
(中略)仕事を初めると、人間よりも猫の方が口をきく義務を解かれるだけでも、
私にはなつかしいし、都合もいい。猫の毛が柔らかいのもいい。
無邪気で好い遊び相手である。
私には生きた猫でなく玩具の猫でも心を柔らげてくれる。
引用(「私の書斎」
愛猫家でも、仕事中は書斎から猫を閉め出してしまう作家も多い中
大佛は常に猫をそばに置いていたようです。
この書斎も、きっと猫でいっぱいだったのでしょう。
作家としての仕事のストレスを和らげてくれる
伴侶のような、遊び相手のような存在、それが猫だったのだと思います。
ジャン・リシュバンだっただろうか、自分の恋した数々の女の名前だけ並べて
洒落た詩を書いた詩人がフランスにある。
たま、ふう、小とん、頓兵衛、アバレ、黒、と並べたのでは詩にもなるまいが、
僕は避け難い自分の臨終の数時間の静かな時を、
自分の一生に飼った猫のことを順に思い出して明るいものにしたいと企てている。
自分の描いた駄作の数々を思って苦しむよりも、この方がどれだけ幸福だろう。
引用:(「猫々痴談」
七十五年の生涯を閉じるとき、ベッドの上で
大佛次郎は、猫と過ごした幸せな日々を思い出したのでしょうか。
作家として大成功を収め、大人気を博した名声を手に入れながらも
「遊んでいる最中に『たま』のことを思い出すと、僕は、誰にも見つからないように
その墓へ行って土を撫でてやった(「猫々痴談」猫のいる日々 (徳間文庫)より)」
という小学生の頃の純粋な気持ちを失わなかった大佛次郎。
その人間性が、ひしと伝わってくる記念館でした。
☆最後に☆
大佛次郎作品のファンや猫好きの方ならもちろん
大佛次郎って、だれ?という方も
誰もが楽しめる大佛次郎記念館。
そして、大佛夫人のレシピから作られたチーズケーキが
食べられる素敵カフェ「霧笛」。
そのすぐ近くには、アニメ「コクリコ坂から」の舞台となった
港が見える丘公園も。
「イングリッシュローズの庭」は、
やはり薔薇のシーズンに訪れたいところです。
夏は人がいない静かな庭園を散策できます。
(ただし、暑いです)
魅力いっぱいの横浜の「港が見える丘公園」エリア。
機会がありましたら、ぜひ訪れてみてくださいね♪^^
☆大佛次郎関連書籍☆
↓↓私はこの本を買いました☆
猫好き必読の一冊です!
大佛次郎が書いた猫を題材としたエッセイのほとんど全てを網羅。
また、猫の小説、童話四編(代表作「スイッチョねこ」を含む)も収録されています。↓↓
↓↓大佛次郎が書いた代表的な童話「スイッチョねこ」の絵本版。
いたずら大好きの白い子猫、白吉は
あくびをした間に、スイッチョという虫に喉の奥に飛び込まれてしまう。
お腹の中で「スーイッチョ、スーイッチョ!」と大声で鳴くスイッチョに
白吉も周囲も困り果てて、さあ大変。
子どもも大人も楽しめる「スイッチョねこ」。
秋の庭の風景が美しく描写されていて、これからの季節にぴったりです。
この「スイッチョねこ」は、上で紹介した「猫のいる日々」にも収録されています。
(注:「猫のいる日々」の「スイッチョねこ」は、文のみで絵はありません)
↓↓
↓↓私も持っているかわいい写真&エッセイ集。
愛猫家の作家のエピソードを貴重な写真と
エッセイで紹介しています。
誰もが知っている愛猫家から「えっ?あの人も?」という作家まで。
心もほっこり癒される、思わず微笑んでしまう一冊です。↓↓
↓↓大佛次郎が64歳で渡仏、自らパリ・コミューンの取材にあたり
書き上げた代表作。
歴史が好きな方は、おうち時間にぜひ挑戦してみてください。↓↓
最後までご覧頂きまして、ありがとうございました。
今週のお題「暑すぎる」