人は女性の幸せの大きな要素として「美しさ」をあげる。
でも、美人なら幸せになれるのか。
映画「マレーナ」のストーリーと感想とともに考えていくことにする。
映画「マレーナ」のストーリー
思春期の少年が美しき未亡人、マレーナに恋をするという物語。
ストーリーは全て、少年の目線を通して描かれている。
舞台は1940年のイタリア、シチリア島。
マレーナ(モニカ・ベルッチ)は小さな海沿いの町でうわさの美女。
主人公の少年、レナート(ジュゼッペ・スルファーロ)は、
町で見かけたマレーナに一瞬で恋に落ちてしまった。
町の男たちは、誰もが振り返るような美貌のマレーナと
ただ一度でもいいから言葉を交わしてみたい、
この腕に一瞬でも抱いてみたいと夢見ている。
その一方で、町の女たちは嫉妬や妬みからマレーナを目の敵にして
「アバズレ」「はすっぱ」と陰口をたたく。
いろいろな意味で彼女は注目の的で、町中の噂の種だった。
それほどの美貌なら人は、つい自惚れたり、
その美しさを鼻にかけたりしてしまうものだが
マレーナは、いつも静かで影をたたえている。
主人が戦争へ行ってしまってからも、写真を見ては主人の帰りを待って
家で思い出のレコードをかけて一人で踊ったりしている。
そんな中、主人戦死の知らせが。
マレーナは将校と食事をしたり、弁護士と結婚話まで進むものの
うまくいかない。
どの男も、マレーナの美しさばかりに心奪われて、体目当てで本気ではない。
大学教授だったマレーナの父も戦争で亡くなり、マレーナはついに娼婦になる。
その後も残酷な運命がマレーナを待ち受けるが・・・
マレーナを演じる「イタリアの宝石」モニカ・ベルッチの美しさ
主演は「イタリアの宝石」と呼ばれている女優、モニカ・ベルッチ。
私はこの映画で初めて彼女を見たのだが、
最初は「これがイタリアを代表する美女か~?」とちょっと意外に思った。
華やかな顔立ちではなく、「整った顔立ち」という印象。
そして、黒髪。なんとなく日本人に通じるところがあるような。(注:これは、私の個人的感想です)
けれど確かに、ここまで影をたたえながら、うつむいて歩いていて、
美女を演じきれる、妖艶さを持った女優というのはなかなかいないかもしれない。
いろいろな「美女」のタイプがあって、
「セクシーな美女」というと、
マリリン・モンローやキャメロン・ディアズのような健康的な色気や、
ビヨンセ・ノウルズやアンジェリーナ・ジョリーのような妖しい色気のようなものを連想するけれど、
本作「マレーナ」では、それらとは全く異なる「美女」を見た気がして、
非常に新鮮だった。
感想・女性は、美しければ幸せになれるのか
結局、どんなに美しい容姿を持っていようと、
彼女が求めていたものは、
ただひとつの真の愛と、温かい家庭だったのではないだろうか。
人は、女性の幸せの大きな要素として「美しさ」をあげる。
美しければ幸せになれるのだろうか?
マレーナの場合は、違った。
その美しさが、彼女の幸せを阻んだと言っていいだろう。
彼女がずっと求めていたのは、町中の男性に言い寄られることではない。
歩くだけで振り向かれるほど注目を受けることでもない。
ただ一人、本当に自分を愛してくれる、真の自分の姿を見てくれる人との
静かで平凡な生活だったのだろう。
暗く、どことなく自らの美しさを持て余しているようなマレーナが
どんどん運命に翻弄されていく。
頑固なまでの意志の強さ、芯の強さを感じるマレーナの生きざま、
そして、ラストの姿に感動した。
この後味の良さや、メッセージ性が、本作を映画史に残るものとしているのだろうと思う。
思春期の少年の恋心と葛藤が描かれた映画だが、
もう一つのテーマとなっているマレーナの生き方、運命、厳しい時代の波が、
この作品を一層、味わい深いものにしている。
たくさんの男性に言い寄られて遊びまくる、それが幸せだと思う女性もいる。
そして、マレーナなら、それができた。
でも、彼女は結局、一人の人を愛し、一人の人に愛される人生を選び、願い、
それをあきらめることはなかった。
100人に一人の美しさと輝きを持っていても、
残りの99人の女性が手にしている幸せをつかむことに遠回りしてしまうこともある。
マレーナがラストに手にしたもの、選んだものを、ぜひ映画で観てほしい。
とても深みのある、後味の良い素晴らしい一作に巡りあえた。
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