2020年4月10日公開予定のドキュメンタリー「プラド美術館 驚異のコレクション」。全国ロードショー。
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『プラド美術館 驚異のコレクション』作品情報 | cinemacafe.net
2020年 4月10日公開のドキュメンタリー映画「プラド美術館 驚異のコレクション」。
スペイン・マドリードのプラド美術館開館200周年を記念して作成された
ドキュメンタリーです。
プラド美術館には、
ベラスケス、ゴヤ、エル・グレコなどが描いた数多くの名画がおさめられています。
収蔵品の保存修復、作業風景などに初密着した今作。
今から公開が待ち遠しい映画ですね。
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ピカソやダリも愛したプラド美術館開館200周年記念ドキュメンタリー映画『プラド美術館 驚異のコレクション』-今井翼のメッセージ付き特報映像到着! - シネフィル - 映画とカルチャーWebマガジン
☆コロナの影響で公開が延期されていましたが
2020年7月24日にいよいよ公開だそうです。
今度こそ無事に公開してほしいですね。
プラド美術館のコレクションの中でも最も有名な作品のひとつに
ベラスケス作の「ラス・メニーナス(女官たち)」があります。
そこに描かれているのは、あどけない一人の少女と女官たちの姿。
公開間近の「プラド美術館 驚異のコレクション」に先がけ、
宮廷画家ベラスケスが描いた
ウィーンのシェーンブルン宮殿や
載せている記事です。読んで頂けましたら嬉しいです。↓↓
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スペイン王フェリペ4世の娘として
6人兄弟でありながら、成人まで生きられたのは
弟カルロスとマルガリータのみ。
カルロスはハプスブルグ家代々くりかえされてきた近親婚の影響で
幼いころはケモノのようであり、まともな教育ができない状態であったといいます。
唯一、美しく聡明に育ったマルガリータを、父・フェリペ4世は
目に入れても痛くないほど、かわいがります。
何百という道化師や召使い、奴隷を、愛する我が娘に与えたフェリペ4世。
その様子がわかるのが、スペインのプラド美術館にある「ラス・メニーナス」です。
宮廷画家ディエゴ・ベラスケスが57歳の時に描いた作品です。
たくさんの侍女に囲まれています。
右の方には犬に足をのせた小人症の道化と矯人の成人女性。
奴隷制が正当化されていた当時は、宮廷内に、このような道化も多く、
ベラスケスは生涯にたくさんの道化の肖像を描いています。
鏡の中にマルガリータ王女の両親、左にはベラスケス本人も描かれています。
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マルガリータ・テレサ・デ・エスパーニャ - Wikipedia
こちらはマルガリータ・テレサ王女が8歳の時に描かれた肖像画です。
ウィーン美術史美術館所蔵の本作ですが、
2019年~2020年、東京の国立西洋美術館「ハプスブルグ展」にお目見え。
観られた方も多いのではないでしょうか。
私も初めて、この作品を観て感動しました。
美しい白い肌と柔らかく輝く金色の髪。
幼さと大人びた表情が見え隠れする憂いを秘めた瞳。
横に広がった青いドレスは光沢があり、
そのなめらかな質感まで、こちらに伝わってきそうです。
実は、本作は、お見合い写真代わりに、
いいなづけのもとに送るために作成されました。
そう、マルガリータ・テレサ王女には、3歳のころからいいなづけがいたのです。
しかも、お相手は、なんと母の実の弟、つまり血のつながった叔父レオポルト1世でした。
当時、衰退しつつあったスペインの国の運命は
ウィーンに嫁ぐ王女にかかっていたといっても過言ではありません。
8歳のあどけない少女の肩に重くのしかかる重責。
大人びた憂いを秘めた瞳は、そのせいかもしれません。
8歳の王女は「結婚」の意味を、すでにわかっていたのでしょうか。
このほかにもレオポルト1世へ
2点の肖像画(マルガリータ・テレサ王女3歳、5歳)が送られており
いずれもベラスケス作、ウィーン美術史美術館所蔵の作品です。
マルガリータ王女は、その後、15歳で、ウィーンへ嫁ぎます。
当時の結婚とは、両親との永遠の別離を指します。
他国の妃ともなれば、実家に帰ることは許されず、
両親の葬儀にすら出席できません。
電話もメールもない時代。
お互いの安否を知り得る手立ては、手紙と肖像画のみ。
わずか15歳で遠い国オーストリアの、血のつながった王と結婚した
共通の趣味があった二人の結婚生活は仲睦まじいものであったと
言われています。
しかし、さらなる悲劇が王妃を襲います。
6人の子供を授かるものの、次々と流産、死産に見舞われるのです。
やっと一人の女児を残したものの、
何度もの妊娠によって、すっかり衰弱しきっていました。
6年間の結婚の末に死の床についた王妃は
当時、ウィーン宮廷で高まっていた
反スペイン派の廷臣たちのあからさまな嫌がらせに苦しみました。
レオポルト1世の再婚相手を探したり、
王妃の死を待ち望む発言をしたりといった宮廷内の人々のふるまいに
マルガリータ・テレサ王妃はどれだけ心を痛め、傷ついたことでしょう。
そして、1673年、第6子の出産直後、
21歳の若さで短い生涯を閉じるのです。
その短い生涯と彼女の歩んだ道を知ってから、
まるで彼女の運命を予言していたかのような
どこか悲しげな瞳と、はかなげな姿が胸に迫ってきます。
今、スペインやウィーンを訪れることはできませんが
この春、お近くの映画館のスクリーンで
「ラス・メニーナス」をはじめ、
スペインのプラド美術館におさめられた数々の名画を
堪能してはいかがでしょうか。↓↓
こちらは、この記事の参考文献です。↓↓
「ラス・メニーナス」に描かれた道化や女官たちの悲しい運命や
マルガリータ王妃、ベラスケスについてなど
わかりやすく書かれています。↓↓
おすすめの一冊です。↓↓
こちらも、参考文献です。↓↓
ハプスブルク家をはじめ、
多くの西洋美女たちの波乱万丈な人生を
わかりやすく解説した名著です。↓↓
ウィーンのシェーンブルン宮殿や
載せている記事です。読んで頂けましたら嬉しいです。↓↓
映画館へ行かれる際は、コロナ対策をしっかりと。
家にこもりたい!という方は、上記の2冊の本で
美しい名画を見ながら、知識を蓄えるのも良いかもしれません。
一日も早い収束を祈るばかりです。
今回も最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。