Miyukeyの気まぐれブログ

愛媛県在住のアラフォー主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪現在は、仕事繁忙期のため月に2回の更新となっていますが、よろしくお願いいたします☆

「コレクション 4つの水紋」展(埼玉県立近代美術館)☆画家たちが描く水の表情に圧倒される

桜の季節もあっという間に過ぎ

早くも新緑がきらめく季節になりました。

夕方になると、さっと冷たい風が吹いて、

あ、そうだ、まだ四月だったんだ、と気付かされたり・・・

そんな週末、ぶらりとアート散歩に出かけました。

埼玉県立美術館の企画展「4つの水紋」(2021年5月16日まで)。

4人の画家を起点として、関連のある絵画や連想される作品を集めた

非常に見応えのある展覧会でした。

埼玉にお住まいの方はもちろん、

行く予定はない!という方にも、

展覧会の作品群の素晴らしさを

少しでもシェアできましたら嬉しいです。

 

↓↓埼玉県立近代美術館の館内・常設展・屋外展示場につきましては

こちらの過去記事で書きました。宜しければご覧ください↓↓

 

miyukey.hatenablog.com

 

 

 

1、画家たちが見つめた水面

 

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たゆたう川の流れと空の色が美しい一作。川沿いに佇む恋人たちは何をささやいているのだろう?「サン・べネゼ橋」 田中保 1928年

「4つの水紋」という展覧会名にぴったりの

水辺の風景画が入口から迎えてくれます。

 

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鮮やかな色彩が美しいドニの作品。

「トレストリニェルの岩場」モーリス・ドニ 1920年

 

 

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まだ18歳の頃、サン・マルコ広場へ行ったことを思い出しました。

確かにこの場所・・・なのだけれど・・・?不思議な異次元の世界に惹きこまれそうな一枚。

サン・マルコ広場」 上村次敏 1985年

 

この展覧会では、水辺以外をモチーフにした絵画も

当然たくさんあったのですが

なぜか私の胸を打つのは「水」が描かれた作品ばかり。

一言に「水」といっても、

川、海、湖、池、沼、滝、水槽、浴場、プール、水道・・・と

その形は様々。

そしてそれを取り囲む自然や人々の表情も異なります。

画家たちが描いた「水」の表情。

生きとし生きるものの「生」を支える「水」というものを

時に清々しく、時に荒々しく描く画家たちの筆力に

圧倒される展覧会でした。

 

2、「初冬の朝」斉藤豊作

 

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「初冬の朝」 斉藤豊作 1914

 

私がこの展覧会で最も感動した作品。

この一枚に出会えただけで来た甲斐があったなあと

しばらく絵の前から動けませんでした。

残念ながら、写真ではその素晴らしさが半減してしまっています。

機会がありましたら、ぜひ実物をご覧になってください。

 

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拡大図

 

 朝靄がうっすらとかかった水辺の朝。

眺めていると、その靄のしっとりと湿った空気までもが

伝わってくるかのように感じられます。

落ち葉の踏みしめるかさかさという乾いた音と靴の下の感触、

連れているヤギたちがたてる、ささやかな息遣い。

冷たい空気に混じる冬の匂い。

はじまったばかりの一日の、まっさらな静けさ。

絵の前に立っていると、

まるで自分が初冬の水辺にいるかのように感じられるのです。

現実から静寂へと連れ去ってくれる一枚です。

 

作者の斉藤豊作は、明治13年生まれ、埼玉出身の画家です。

東京美術学校(現・東京芸大)卒業後、

フランスへ渡り、点描の画風を学びました。

本作は1912年に帰国した際、

ブルゴーニュ地方の水辺を描いたという代表作。

その後1920年に、再渡仏した斉藤豊作は

パリの喧騒を離れてフランス人の妻と二人、

べヌヴィルの古城に住み、二度と日本の地を踏むことはなかったと言います。

日本を離れた詳しいいきさつは、私にはわかりません。

が、この絵を見ていると、斉藤豊作という画家と

向き合って立っているように思えるのです。

都会の喧騒、利便性の追求やこの世の悦楽といったものと相反するところにあるもの・・・

自然の中の静寂や孤独の中に自らを置こうとする気持ちが

ひしと伝わってきました。

海沿いの街、べヌヴィルの古城での暮らしとはどんなものだったのでしょう。

毎日海を眺め、故国日本を想うことはあったのでしょうか。

愛する妻との暮らしは幸せだったのでしょうか。

画家の人生までもが想像力をかきたてられます。

 

3、子供も楽しめる仕掛けがたくさん♪

 

お子さんでも楽しめそうなワークシート形式のプリントも配布されています。

例えばこちら。

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子どもじゃないけど、やってみました。

主人は横山大観の「漁村曙」。

私は倉俣史郎の「ミス ブランチ」。

改めて、主人と私ってタイプが全く違うなーーと思いました。

上手くやっていけてるのは、

お互いの欠けているところを補い合っているからかもしれません^^

それはともかく、私へのおすすめ作品だった「ミス ブランチ」。

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「ミス ブランチ」 倉俣 史郎 1988年

とっても美しい椅子に目が釘付け!

なんだか嬉しい・・・。

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バラの花がぎっしりと詰め込まれた透明の椅子。

朝食と昼食を兼ね備えた食事、「ブランチ」。

ちょっと気だるい昼に、満たされた食事をとる貴婦人のようなイメージの椅子。

アクリルでバラの造花を閉じ込めた美しい作品です。

 

「椅子の美術館」としても有名な埼玉県立美術館。

今回の展覧会でも、美しい椅子がたくさん展示されています

子どもも大人も楽しめる美術展、「4つの水紋」。

おすすめです。

 

☆番外編1 「MOMAS コレクション 第4期」

埼玉県立近代美術館の所蔵作品を展示した展覧会

「MOMASコレクション 第4期」(2021年4月18日まで)。

その中から特に心に残った作品をご紹介します。

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この絵は何を描いていると思いますか。

私は、はじめ、海の中だと思いました。

海の底の静かな場所に咲いている色とりどりのお花。

日の光が差し込み、

波に揺らいで気持ちよくなびいている瞬間を描いた作品だと。

でも、じっと見ていると、オレンジの線が金魚に見えてきました。

水槽の中・・・?

なぜこんな想像をしたかといえば、この展示室には、

一切、解説も題名も書いていないのです。

でも、安心してください。

入口に、作品番号と題名、詳しい解説が載った紙がちゃんとありますから。

この絵のタイトルは「9月の庭にて」。(小島喜八郎 2005年に制作)

つまり、水の中でもなんでもなく、秋風に揺れる庭先の草花を描いたものだったのです。

でも、こんな見当はずれな想像をしてみるのも面白いものです。

美術館では、解説を読んで、「わかったつもり」になってしまうことが多いものですが

このように観たものをそのまま受け取り

自分なりに解釈した後に解説を読むと、

とてもすんなりと自分の中に絵画の世界が入って来るのを感じました。

また、頭で理解して観るのではなく、自分の感性だけを頼りに

絵画と向き合う時間を作る、というのも、ひとつの美術鑑賞のかたちだと思います。

 

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シャガールの絵は、いつも心を柔らかくしてくれる。

「二つの花束」マルク・シャガール 1925年

この絵は、シャガールがパリで家族とともに幸せな生活を

送っていた時期に書かれたものだとのこと。

シャガールの絵には、いつも温かい空気が流れているようで

心が柔らかくなる気がします。

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屋外展示場は芸術的な像やモニュメントがいっぱい。背景の緑に映えて美しい。

 

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「太陽の歌」 堀越陽子 1987年

屋外の展示は自然と一体になっているところが素晴らしく

四季折々で異なった表情を見せてくれます。

この季節は木々の緑と春の青空が清々しくて、モニュメントがよく映えます。

 

↓↓必見の重村三雄の「階段」は、こちらの記事をご覧ください↓↓

コロナ禍で「近くて遠い」東京。そして埼玉県立近代美術館との出会い☆ - Miyukeyの気まぐれブログ

 

番外編2 美術館の庭(北浦和公園)を散歩

 

 

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 美術館を出ると、もうすっかり夕方で、涼しい風が吹き渡っていました。

美しい花々を眺めながら、しばし、お散歩。

 

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 美しい芸術作品の余韻に浸りながら歩く並木道。

 

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ぼこぼこと根っこが突き出たクスノキ(左)と、夕日の光に照らされた青々とした木々(右)

 昼間は騒がしかった子供たちも少なくなっていて

公園は静けさを取り戻していました。

美術展でアートを堪能した後は、

自然の芸術作品を味わいながら帰るのも素敵です。

木々、花々、空の色、空気、噴水、光と影、夕方の匂い。

自然そのものが芸術なのですね。

お近くの方は、この気持ちが良い季節に、ぜひ足を運んでみてくださいね。

 

 

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ミュージアムショップには埼玉出身の山本容子さんの絵ハガキがいっぱい。

今回、私が買ったポストカード

「春光」 山本容子 2017年

(※この作品の展示はありませんでしたが、

山本容子さんの他の作品は「4つの水紋」「MOMAS」にいくつか展示されていました。)

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

 

 

<美術館がお好きな方へおすすめの過去記事>

 

 

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