Miyukeyの気まぐれブログ

愛媛県在住のアラフォー主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪現在は、仕事繁忙期のため月に2回の更新となっていますが、よろしくお願いいたします☆

ウィーンの空気が味わえる!「ウィーン・モダン展」の魅力☆ (感想と写真)


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現在、大阪の国立国際美術館で開催中の

「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」展。

ウィーンの空気や匂い、雰囲気を日本にいながらにして味わえる

すばらしい美術展です。

ウィーンへ行ったことがある方は懐かしく、

行ったことがない方は異国の香りにどっぷりと酔いしれて

芸術を鑑賞できます。

今回は、印象に残った作品や魅力、感想などを紹介します。

 

期間:2019年8月27日~12月8日

場所:国立国際美術館

 

①混雑状況

9月26日15時頃来館時は、がらがら

平日の昼間ということもあるのでしょうが、

美しい美術作品を、じっくりゆっくり堪能することができました☆

おのぼりさんが東京で考えたこと - Miyukeyの気まぐれブログ

 

②「エミーリエ・フレーゲの肖像」は撮影OK

今回の目玉、グスタフ・クリムトの「エミーリエ・フレーゲの肖像」は

撮影が可能です。

美しい作品を、カメラやスマホで撮り放題☆

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③ウィーンの夜の空気を味わう

artexhibition.jp

ユーリウス・シュミットの「ウィーンの邸宅で開かれたシューベルトの夜会」は、

シューベルトを囲んで、ドレスを着た貴婦人や紳士たちが一室に集っている絵。

シャンデリアが光り輝き、ウィーンの夜の静けさに

シューベルトの弾くピアノの音色が響きわたる。

人々の熱気と、曲に聞き入っている空気感が伝わってきます。

楽譜をめくる、その音までも、聞こえてきそう!

自分がその部屋に集まった人々の一人になったような、

そんな気持ちにさせてくれる、美しい一枚です。

(展覧会には、シューベルトが愛用した眼鏡も展示されています。

「起きてすぐに作曲ができるように」と、寝る時も眼鏡をはずさなかったそう。)

 

また、「ウィーンの邸宅で開かれたシューベルトの夜会」は、

舞踏会の夜の、着飾った人々のささやき声や衣擦れの音、

ワイングラスのぶつかり合う音、美しい音楽や

夜の空気などが聞こえてくるような臨場感のある絵です。

 

④皇后エリザベートの輝きと皇帝フランツ・ヨーゼフの孤独

 

なんといっても、ため息をもらしてしまうほどに美しかったのが

フランツ・ルスの「皇后エリーザベト」の肖像画

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自分の美しさに気がつく前の、まだ少女の面影が残るエリザベート

きらきらと輝くその瞳の奥には、溢れる好奇心や利発さ、お茶目さが

透けて見えるようで美しい。

まだ見ぬ未来や、足を踏み入れていない世界への希望に満ちた

はつらつとした若々しさ。

悲劇的ともいえる、彼女のその後の人生を、

のちに生きる私たちは知っているからこそ、

この肖像画のキラキラ感や美しさが、なんだか悲しく思えるのだけれど・・・

「この絵の前に、ずっと立っていたい!」と思える素晴らしい一枚です。

隣には、同じ年代に描かれた「皇帝フランツ・ヨーゼフ1世」の肖像画も。

 

個人的にとても印象的だったのは

「シェーンブルン宮殿書斎での皇帝フランツ・ヨーゼフ1世」(フランツ・フォン・マッチュ)。

 

前述した「皇帝フランツ・ヨーゼフ1世」から60年以上も後に描かれた作品で

皇帝フランツ・ヨーゼフは、当然のごとく老人になっています。

はげあがって白髪になった頭、曲がった背中のフランツ皇帝は一人、

赤い壁紙の書斎で机に向かいます。

窓の外は、冬なのでしょうか、裸の木の枝が見え、

机の周りには、皇后エリザベートの若かりし頃の肖像画がずらりと並んでいます。

幼いころから王になるため厳しくしつけられ、質実剛健であった王の

真面目な人柄までが伝わってきそうな絵。

彼は、86歳で亡くなる数日前まで公務を続けました。

ハプスブルグ帝国の事実上のラストエンペラー

努力しても努力しても、様々な歴史の波に翻弄され、

ハプスブルグは滅亡の坂を転げ落ちていった。

どれほどの重責が、老いた王の肩の上にあったことでしょう。

 

旅に明け暮れ、自分のそばにはいてくれなかった美しき王妃エリザベート

恋しがるあまり、書斎にはエリザベート肖像画をたくさん置いていた王。

その愛する妻も、60歳で殺害されます。

愛ゆえに厳しく育てた息子ルドルフは、心中で若くしてこの世を去ります。

幾たびもの哀しみ、苦しみ、孤独、人生の辛苦を味わいながら、

最後の最後まで孤高の王であり続けたフランツ・ヨーゼフ。

一人、部屋にこもって職務にはげむフランツ・ヨーゼフの姿を描いたこの絵から

彼の孤独が痛いほどに伝わってきました。

ペンを走らせる王の筆の音までもが聞こえてくるようで、

その空気感に圧倒される一枚。

 

下の写真は、

ウィーンのベルヴェデーレ宮殿にある

結婚後に描かれた皇后エリザベートと皇帝フランツ・ヨーゼフの肖像画と、

ウィーンの美しいレストランの前に貼ってあった老人になった

フランツ・ヨーゼフの絵。

(注・この展示会には展示されていません)


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ベルベデーレ宮殿で観たこちらの肖像画も、一生忘れられない美しさでした。

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老いても威厳を失わなかった皇帝フランツ・ヨーゼフ。

 

 

 ↓参考文献です。とてもわかりやすく、波乱の人生を生きたエリザベートの生涯が書かれています。

エリザベート (ビジュアル選書)

エリザベート (ビジュアル選書)

 

 

 ↓大感動の一作。エリザベートが身近に感じられます。おすすめです!!

 

 

 

⑤幻想的なクリムトと個性的なシーレ

展覧会の目玉は、グスタブ・クリムトエゴン・シーレ

グスタブ・クリムトの神話の中の美女を描いたという神秘的で幻想的な作品群が並びます。

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前述しましたが、「エミーリエ・フレーゲの肖像」は、撮影自由。

グスタブ・クリムトはこの作品で世間から高い評価を受けましたが、

モデルとなったエミーリエ・フレーゲは、この作品が気に入らなかったといいます。

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じゅうぶん美人に描かれていると思うのですが・・・

間近で観る「エミーリエ・フレーゲの肖像」は、美しく、紫の色合いも夢のよう。

画家が筆を走らせた線の一本一本や、絵がかもし出す雰囲気は、

この場所でしか味わえないものです。

 

この他、エゴン・シーレの超有名な「自画像」も展示されています。

artexhibition.jp

サイズは小さいながら、個性的で独特な世界観で鮮烈な印象を与える作品です。

エゴン・シーレの魅力にひきこまれました。

 

 

エゴン・シーレ 死と乙女 [DVD]

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 ↑↑エゴン・シーレに興味を持った方は必見の映画がこちら☆

美しい!本当に美しい映画。エゴンシーレを演じる俳優さんの魅力に酔いしれます。

 

⑦ウィーンの華やかな空気を味わえる

 

ウィーンの中心にそびえたつシュテファン大聖堂。

1834年に描かれたルドルフ・フォン・アルトの

「ウィーン、シュテファン大聖堂」

の絵を観ると、

いかに長い歳月を、シュテファン大聖堂が、あの場所で、

ウィーンの街を、人々を、歴史を、見守り続けていたかということがわかります。

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ウィーンにそびえるシュテファン大聖堂。2018年9月撮影。

この展覧会では、絵画だけではなく、ウィーン工房で制作された銀食器、

模型やドレス、髪飾りや椅子、家具なども展示されているのが特徴です。

カフェ文化が無形文化遺産に指定されているウィーンでは

古くからトーネット社の曲げ木のコート掛けや椅子が使われており、

今回の展覧会でも「トーネット・チェア」が見ることができます。

 

また、伝統的なカフェで超有名な「カフェ・ツェントラル」に

毎日入りびたり、小説を書いて過ごしていた名物男、

ペーター・アルテンベルクを描いた作品

グスタフ・ヤーガーシュバッハ―「作家ペーター・アルテンベルクの肖像」

にも出会えます。

まるでカフェ・ツェントラルに住み着いているかのように、

郵便物も全てカフェで受け取り、いつも同じ席を陣取って

朝から晩まで執筆を続けた変わり者の風貌がよく描かれています。


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カフェ・ツェントラル。息をのむほど美しいカフェ。

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カフェ・ツェントラルに今もあるペーター・アルテンベルクの人形。(2018年9月撮影)

 

⑧芸術とウィーンの雰囲気を堪能する

 

ウィーンを訪れたことがある人はもちろん、まだ行ったことのない人も、

ウィーンの華やかな風を感じられる

「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」。

あっという間に時間は過ぎ、美術館を出ると、夕暮れでした。

充実した時を過ごせる美術展、おすすめです。

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