Miyukeyの気まぐれブログ

愛媛県在住のアラフォー主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪現在は、仕事繁忙期のため月に2回の更新となっていますが、よろしくお願いいたします☆

横浜美術館「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展でパリの風を感じる☆(感想と写真)


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横浜美術館

ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展

とっても素晴らしかったので、

印象に残っている作品をご紹介します。

 

1、ルノワールの温かい美しさ

 

www.museumshop-yokohama.jp

やはりルノワールといえば、一番に思い描くのが

裸婦や少女の絵です。

でも、今回の展覧会で一番心に残っているのは、

なぜか桃の静物画。

観ているだけで、みずみずしさが伝わってくる、

優しく温かく柔らかい一枚。

この絵を観て、ルノワールの言葉を思い出しました。

 

「わたしにとって絵画は、なにか好ましく、喜ばしく、

きれいなものだ。そう、きれいなことが肝要だ。

われわれの人生に醜いものは充分ある。

それにつけ加える必要はない。」

(日経ポケット・ギャラリー「ルノワール」レイチェル・バーンズ編)

 

この言葉に出会ったのは、私がまだ大学生の頃。

ルノワールの芸術に対する姿勢や、世界観を一言で言い表しているようで

ますます好きになりました。

確かに、ルノワールの作品には、

悲惨さ、残酷さ、悲しさはありません。

ルノワールは、人生の中で、たくさんそれらを見てきたはずですが、

彼が生涯を通して描いたキャンバスの中の少女、裸婦、果実や風景は

幸せ色に輝いているような平穏な美しさに満ちているのです。

たくさんの苦悩や悲しみを知りながらも、

明るい色彩を用いて、「美しく、見ていて楽しいもの」を描き続けたルノワール

だからこそ、彼の絵は、現代に生きる悩みを抱えた人々の心をも揺さぶり、

多くの人々に感動を与え続けるのではないでしょうか。

 

 参考文献は、こちら↓↓↓  ルノワールの名画とともに、ルノワールの人となりがわかる名言も紹介されています☆

ルノワール (日経ポケット・ギャラリー)

ルノワール (日経ポケット・ギャラリー)

 
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2、マリーローランサンとココ・シャネルが散らした火花

 

マリーローランサンの絵画が展示されている場所は

そこだけが明るく華やかな光で輝いているように見えます。

今回の展覧会で鑑賞できるローランサン作品は5点。

少女の夢の中のような、かわいらしくて幻想的な美しい絵の数々!

妖精みたいな女の子たち、白玉だんごのような(?)真珠、

黒い瞳、甘く淡い色彩・・・

もっとたくさんローランサンの作品を観たかった!

その中でも印象的だったのが「マドモアゼル・シャネルの肖像」です。

 

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ココ・シャネルをモデルに描いたマリー・ローランサンの作品、「マドモアゼル・シャネルの肖像」。美しい・・・

 個人的には、ずっと実物を観たいと思っていた一枚だったので

今回実現して、本当に嬉しいです。

ココ・シャネルは、この絵を気に入らず、受け取りを拒否したそう。

そんなシャネルにローランサンは、「田舎娘」と一蹴したとか。

この作品は、芸術的にも優れていて美しく、ローランサンらしいタッチで描かれた

素晴らしい絵で、ため息が出そうです。

「こんなに美人さんに描いてもらってるのに、何が気に入らなかったんだろう」

と、絵の前でつぶやいているお客さんもいました。

でも、私には、なんとなくシャネルがこの絵を気に入らなかった気持ちが

わかる気がします。

ココ・シャネルという女性は、現代でいうところの「バリキャリ」です。

しかも、まだ女性の地位が低く、女性は男性の力を借りてしか

生活できない、着飾って男性の気をひくことで生きていくものと

思われていた時代に、

ばっさりと髪を切り、ズボンを履いて、朝から晩まで

仕事をしていた・・・

つまり、ファッションデザインだけでなく、生き方やライフスタイルまでも

時代の最先端をいく女性だったのです。

シドニー・G・コレットをして「まるで黒い牡牛」といわしめ、

ポール・モランに「活火山」と形容された

シャネルの個性と気の強さ、みなぎる自信は

その当時の女性にはなかったものだと思います。

87歳で亡くなる二時間前まで仕事をしていたシャネル。

自分の成し遂げてきたこと、退屈を憎んで常に行動に移す性格、

輝かしいキャリアの全てに誇りを持っていたことでしょう。

 

マリーローランサンが描いたシャネルは、

けだるさをたたえたアンニュイな表情。

女性らしい曲線、淡い色彩を用い、柔らかい印象を与えます。

男性をもひざまずかせる才能でバリバリ働いていた

キャリアウーマンのココ・シャネルには、

その女性らしい柔らかさ、温かさ、アンニュイな感じが

許せなかったのではないでしょうか?

 どうせなら、男勝りにかっこよく、ビシッと描いてほしい、と

思っていたかもしれません。

この絵の前に立って、

同時代、パリで名をはせた二人の女性の火花に思いをはせるのも

楽しいですね。

 

参考文献は、こちら↓↓↓  心を打つ名言とともにココシャネルの人生と生き方がわかりやすく書かれていますので、ぜひご一読を。

仕事と人生がもっと輝くココ・シャネルの言葉

仕事と人生がもっと輝くココ・シャネルの言葉

 
トリバゴ

 

思えば、クリムトが描いたエミーリエ・フレーゲ肖像画

世間には高く評価されながらも、モデルは作品を気に入らなかったのでした。

それについては、こちらのブログで書いています↓↓↓

ウィーンの写真も貼っていますので、良ければ見てみてください☆

miyukey.hatenablog.com

 

3、ユトリロの絵画の前にはパリの風が吹く

 

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ユトリロの「サン=ピエール教会」。パリの空気、風、匂いが感じられます。

 

ユトリロ

この人の絵には、空気が満ちている・・・

空気が閉じ込めてある、と言ってもいいかもしれません。

パリの匂いがする気がして、しばらくこの絵の前に立ち尽くしてしまいました。

ユトリロが描くパリは、

ガイドブックに載っているような、

オシャレで、かわいくて、ウキウキするパリのにぎやかさではなくて、

しんと静まりかえった冬の匂いのするパリです。

葉が落ちてしまった木々の枝を揺らす風が吹きわたっていて

サクレ・クール寺院と、サン・ピエール教会の白が

痛いほど冷たい。そして、冴えわたる美しさに満ちています。

観光客の見る楽しいパリではなく、

ユトリロは、自分の心の中のパリを描いたのではないでしょうか。

私が一番好きな「サン=ピエール教会」という絵は、

サクレ・クール寺院が完成されてまもなく描かれたものだそうです。

パリの匂い、風、空気、冬の冷たさ・・・

ユトリロの絵は、時と場所を超えて、それらものを運んできてくれるのです。

 

4、ポール・ギヨーム夫人の意志の強さ

 

この展覧会では、ポール・ギヨームのコレクションを鑑賞するとともに

彼の歩んだ生涯やコレクションに対する熱意も知ることができます。

志半ばにして42歳の若さで亡くなったポール・ギヨーム。

ギヨーム夫人は、とても気が強い人だったようです。

運命に翻弄されながらも再婚し、亡き夫のコレクションは自分の好みに合わせて

売却、様々なスキャンダルを起こして注目を集めました。

 

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どちらもポール・ギヨーム夫人の肖像!!

 左がアンドレ・ドランの「大きな帽子を被るポール・ギヨーム夫人の肖像」。

右がマリー・ローランサンの「ポール・ギヨーム夫人の肖像」。

同一人物を描いたとは思えない表現のちがい!!

面白いですね。

でも、二枚の肖像画で共通しているのは

綺麗な黒髪、気が強そうな瞳、気高さとともに漂う芯の強さ。

運命に翻弄されながら、夫が集めた多くのコレクションとともに

生きたスキャンダルに満ちた彼女の人生を思うと

気が強くないと、やっていけなかったのかもしれないとも思います。

 

5、横浜美術館ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」展

 

パリのオランジェリー美術館で展示されている名画の数々を

日本でゆっくり鑑賞できるこの展覧会は

2020年1月13日まで!!

忙しい年末年始、芸術作品に触れ、

パリの風を感じて心を解き放つ時間を過ごしては、いかがでしょうか?

 

 

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左 : アンドレ・ドラン「座っている画家の姪」  右 : アンリ・マティス「ソファーの女たち」

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました☆

 

 

グーペ