Miyukeyの気まぐれブログ

愛媛県在住のアラフォー主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪現在は、仕事繁忙期のため月に2回の更新となっていますが、よろしくお願いいたします☆

「雲と鉛筆」吉田篤弘 「あいだ」にある美しさに気付く  (感想)

秋の夜長、どう過ごされていますか?

温かいミルクティーでも片手に、眠る前のほんのひと時を

ゆったり過ごすのに、読書は最適です。

ちょっと不思議で温かいストーリー、

「雲と鉛筆」(吉田篤弘)をご紹介します。

 

雲と鉛筆 (ちくまプリマー新書)

 

鉛筆工場で働いている「ぼく」は屋根裏部屋に住んでいます。

毎日、雲の絵を描き、遠い街に住む姉に手紙を書き、

散歩をする・・・

登場人物は

いつも人生の話ばかりをしている友達「人生」、

利便性を追求した商品を売り歩くセールスマンの「ジュットク」

気が短いけれど腕は確かな理容師の「バリカン」

いつも眠気を我慢している茶葉の店の店員「アクビ」。

 

これは小説のようで小説ではなく、

詩のように美しい文体で語られる

いわゆる哲学書のようなものなのかもしれません。

あらすじだけを追うのなら30分ほどで読めてしまうでしょう。

でも、それぞれの登場人物が語る言葉のひとつひとつに

立ち止まり、自分に問いかけ、

その言葉の裏にある本当の意味を考えるなら、

この本は味わい深く、何回でも読み返したくなる一冊となるにちがいありません。

人生にそっと寄り添ってくれる友達のような一冊に。

ピンナップ ポストカード 10+1枚 LP543 ハート の 飛行機雲

 

私が好きだったのは

主人公が雲を描きながら「四十八茶百鼠」という言葉を

思い出すシーンです。

茶色は48種類、鼠色は百種類もの色合いがあるという意味なのだそうです。

しかし、それは言葉の綾で、実際は、

茶色も鼠色も百以上の種類があるのだというのです。

なぜそんなにたくさんの鼠色が生まれたのか??

それは江戸時代、

奢侈禁止令(「庶民は贅沢をしてはならない」という御触れ)が

出され、

庶民は着物の色や柄に豪奢な色を使うことを禁じられたことに

端を発するのです。

そこで庶民は使用を許された鼠色に少しずつ色を加え、

鼠色の中でも微妙に異なる色合いを楽しむことにしたのです。

「葡萄鼠」「桜鼠」「利休鼠」・・・次々生み出される鼠色を

身に纏う江戸っ子たち。

「本当に粋なのはモノトーンだ」

「色を禁止するなんて野暮な話だ」

と、お上に反発、御触れを逆手にとってみせたのです。

 

物語の中では、こう締めくくられています。

白でも黒でもない。

そのあいだにあるもの。

白と黒のあいだには百通りの鼠色を育んだ豊かな可能性があった。

とかく「白黒はっきりしない」と揶揄され、

「グレーゾーン」と云えば、曖昧であったり、

疑わしいときに用いられるのが常だが、

白黒はっきりしない美しさがあるのだと雲を描きながら

しばし考えた。

(引用:雲と鉛筆 (ちくまプリマー新書) P76

 

黒と白の間にあるもの。

曖昧さの中にある美しさ・・・

見えにくいけれど目をこらせば見える、

立ち止まれば気付けるものに

時には目を向ける余裕を持ちたいと感じました。

日本人が古くから大切にしてきた「曖昧さ」に目を向ければ、

また新しい視点が生まれるかもしれません。

 

 

 

 

 

今日から10月。

これからどんどん秋が深まっていきます。

考えることも大切だけれど、

眉間にしわを寄せて考えても解決しないこともある・・・

それなら、考えずに「感じて」みれば、

うまくいくのかもしれない。

そんなことを気付かせてくれる一冊でした。

シンプルなストーリーの

行間に、もしかしたら、あなたの幸せのヒントが隠されているかもしれません。

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最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

 

 

 

<秋に読みたい過去記事>

 

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