Miyukeyの気まぐれブログ

愛媛県在住のアラフォー主婦です。本、洋画、訪れた場所などの感想を気まぐれに、かつ自由に綴りたいと思います☆笑顔の扉の”key"を見つけられる毎日になることを祈って♪現在は、仕事繁忙期のため月に2回の更新となっていますが、よろしくお願いいたします☆

映画「パロアルト・ストーリー」感想 少年少女の心の闇を美しく描き出す

パロアルト・ストーリー


フランシス・フォード・コッポラの孫であり

ソフィア・コッポラの姪である

ジア・コッポラ監督のデビュー作。

 

心の琴線に触れる美しさで、思春期の若者たちの心の闇を描き出した一作。

マリー・アントワネット」、「ロスト・イン・トランスレーション」などの

ソフィア・コッポラ監督の姪だけあり、作品に流れる空気感は、どこか似ている。

映画「マリー・アントワネット」の感想:ひとりの女性の心のひだを映し出す映画 - Miyukeyの気まぐれブログ

 

ストーリーはエイプリル(エマ・ロバーツ)と、同級生テディ(ジャック・キルマー)、サッカーのイケメンコーチ(ジェームス・フランコ)の三角関係のラブストーリーと観ることもできるが、

もう一つのテーマである思春期の若者の、もどかしく切ない心の闇が、心を打つ。

また、俳優陣の素晴らしい演技も見どころである。

 

テディ(ジャック・キルマー)は、本当は優しくて純粋だけど

それ故に周りに影響されやすく、傷つきやすい。

それで悪友フレッド(ナット・ウルフ)に振り回されて、いつも足を踏み外してしまう。

 

そんなテディが思いを寄せるエイプリル(エマ・ロバーツ)は、優等生。

でも酒びたりで薬物中毒の義父の影響もあり、

精神的に不安定で成績も落としてしまう。

 

個人的にすごく好きだった登場人物が、テディの友人、フレッド(ナット・ウルフ)。

もうハチャメチャで滅茶苦茶で、いつもテディを巻き込んで

悪いことをしまくっている。

「テディの悪友でイタイ危険なヤツ」に思えるが、

実は薬物中毒の父親を持ち、両親の愛情に飢えた少年なのだ。

彼はいつもドラッグで寂しさを紛らわせて、

ハチャメチャに騒いで、愛のないセックスをして、悪さをする。

そうしないと生きていけない寂しさ、悲しさ、辛さが行動のはしばし、

言葉のひとつひとつにあらわれていて、とても痛々しい。

テディにいつも「エジプト人だったら、どうしたい?」「事故にあったら、どうする?」ときくのも、

現実から逃避したい心理をあらわしているし、

エミリー(ゾーイ・レビン)に「愛してると言え」と迫るのも、

結局は両親の愛を切実に求め、誰かに必要とされたい欲求の裏返しなのだと思う。

フレッドの自暴自棄で、どうしようもなく不器用な生き方が悲しくて、

印象的だった。

あるがままの自分を認められたい、という強い気持ちが爆発するラストシーンは

衝撃的だ。

 

誰とでも寝てしまうエミリー(ゾーイ・レビン)も、

結局は淋しくて、誰にでもいいからすがりつきたい、

愛されたいという辛さを抱えていた。

 

登場人物全員が、それぞれに家族の愛情に飢えて、闇を抱えている。

それを悪さで茶化したり、いい子でいようとしたり、

セックスで埋めようとしたり、方法はそれぞれだけど、 

とにかく懸命に自分を守りながら、

なんとか今日一日を生き抜いていく、

そんな少年少女たちの姿が描かれている。

大人になりきれない、思春期の若者たちの心の闇が浮き彫りにされた

美しく心に響く一作だ。

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ナット・ウルフ演じるフレッドが、作中で酒をがぶ飲みしながらピアノを弾きまくるシーンが印象的。サントラもおすすめ。

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